小池百合子都知事と台湾、知られざる「深い関係」

 

ところがその中国では、新華社が投票日間近の29日に、「日本の候補者が『尖閣諸島は中国にあげてしまえ、そうしないと自衛隊員が死ぬ』と言っている」という見出しの記事を掲載しました。記事の内容は、前述したように、かつて鳥越氏が「もしも(尖閣に)自衛隊が出動したら死人が出る。そうなるくらいなら尖閣諸島は中国にあげたほうがいい」という発言に対して、石原氏が「あいつは売国奴だ」と批判したことを取り上げたものです。

日政客声称把钓鱼岛“给中国”:否则自卫队会死人

当然、中国でこうした記事が掲載されれば、日本でも報じられます。そのことは、中国もわかっていたはずです。実際、日本の各メディアでも「中国が鳥越氏のかつての『尖閣をあげてしまえ』発言を報じた」と話題になりました。日本の中国への親近感は過去最低レベルですから、「日本人候補者が中国の主張にかなった発言をしている」と報じられることは、日本ではマイナスにしかならないはずです。

中国の報道は、反鳥越陣営や鳥越氏の「売国的発言」を知らない日本人に、格好の攻撃・反発材料を与えてしまった形になってしまったわけですから、鳥越陣営にとっても痛かったと思います。しかし、中国側もこうした反響を予測しないわけがありません。ではなぜあえて投票日の直前にこのような記事を掲載したのでしょうか。

推測になりますが、中国政府も鳥越氏の落選を見越しており、ニュース価値がある間に報じてしまおうと考えたのではないかということです。中国として理想的なのは、鳥越氏が当選した後で、「『尖閣を中国にあげてしまえ』と主張している人物が新都知事になった」と紹介することでしょう。

しかしそれが叶わないならば、ニュースバリューがあるうちに報じて中国国内の世論を喚起することに利用したほうがいい。落選して「ただの人」になる前に、有力候補者であるうちに報じたほうがいいと判断したのではないかと思います。

もっとも、中国人からは鳥越氏を称える声よりも、「釣魚島(尖閣)はもともと中国のものだ、『あげる』などと寝ぼけたことを言うな!」といった反発が大きかったようですが。

鳥越氏は「中国韓国との連携」も提唱していましたが、いくら相互信頼といっても、最後には味方すら利用して捨てるのが中国です。だから「人間不信の国」なのです。そして中国ではニュースとは、事実の報道ではなく政治利用するものです。

現在の中国ではネットの世論調査すら政府がカネで買うようになっています。かつては鬱憤をネットでぶつける「憤青」が主流でしたが、現在では政府の意向に支持を打ち出すことで5セントもらえるという五毛党」が主流、しかもその役を担っているのは、アメリカ政府の情報機関の調査によると、99%が国家や党、政府の公務員だということです。

一方で、イギリスのEU離脱やトランプ旋風を見てもそうですが、先進国でもメディアの言うことを信じない人が多くなってきています。とくに左派メディアの予測や主張とはことごとく異なる結果になることが多くなっています。これは多文化共生やコスモポリタニズム、グローバリズムから距離を置き、ナショナリズムや地域主義を目指すという傾向とも一致します。

前回の参議院選挙、そして今回の東京都知事選挙も、大きな意味ではこうした世界的な潮流と軌を一にしたものだったと思います。新聞やテレビといったメディアへの懐疑、「左派ジャーナリズム」への不信、多文化共生への不安といったものが背景にあり、いくら「護憲」を訴えても国民に響かなくなっている。現実から乖離した野党の野合は、単に時代錯誤でしかないのです。

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黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋

著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
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