なぜ日本人は米国人に比べて「自己主張」がココまで下手クソなのか?

 

例えば、27歳でスウェーデンのヨーテボリ出身、アッパーイースト在住、独身で、ミッドタウンの会社に勤務…とか、言われてもいまいちピンとこない。

35歳でフランスのマルセイユ出身、ブルックリン在住、小学生2年生の娘がいて、マディソン街の会社に勤務…でも、どんな人なのか分かるわけがない。

42歳でメキシコのグアダラハラ出身、クイーンズ在住、小学生の子どもが3人いて、ダウンタウンの会社に勤務…でも同じ。

いかがだろう?この程度の情報じゃ、その人がどんな人物なのか、さっぱりイメージがつかめない。もっといろいろ話を聞いてみたくなる。

ニューヨークで日本人が日本人以外の方々に、自己紹介する様子をイメージしてみると、もっと分かりやすい。みなさんが、ニューヨークで仕事のミーティングや、お友達のパーティなどで自己紹介する場面を想像してみて欲しい。どういう自己紹介するだろうか?

年齢???

まず、そもそもアメリカでは、いきなり年齢を聞かれることはないし、自分から言う人もほとんどいない。なぜなら、年齢によって決まってくる状況がほとんどないからだ。

優秀な学生が飛び級するのは当たり前だし、社会人経験を積んでから大学に入って学生をする方も普通にいる。日本のような終身雇用制は一般的ではなく、したがって、年功序列という発想もない。こういう状況では、年齢の情報は意味がない。だから、年齢を言っても、聞いても、あまりピンとこない。

じゃぁ、勤務先は???

勤務先についても日本とは考え方がだいぶ違う。転職も多いし、優秀な人ほど転職する。さらにもっと優秀な方々は、自ら会社を起業するのが半ば常識になっている。だから、勤務先が有名な大企業だろうと無名の中小ベンチャー企業であろうと、それだけじゃ、実際のところ何も判断できない。それにそもそも勤務先よりも、職種(何の分野の専門家か?)の方が重要視される。それでも、あくまで参考情報の1つだ。

出身地の情報についても同様だ。

昔、訪れたことがあるとか、住んでたのなら話は別だけど、聞いたことない外国の都市名を言ったところでピンとくる人は少ない。上述の例のスウェーデンのヨーテボリとか、フランスのマルセイユとか、メキシコのグアダラハラ等と言われてもさっぱりイメージわかないだろう。日本の都市名を伝えた場合も同じことだ。

いや、仮に、マンハッタン出身と言われても、この街にはお金持ちから貧しい人まで多種多様な人々が住んでいるから、その人がどういう人なのかを理解するためには、もっといろいろ聞きたくなってくるだけだ。

じゃ、何について語ることになるかというと、例えば、あなたが日本出身と言ったら、あなた自身のことをもっとよく知りたいという意味もこめて、今ならほぼ100%間違いなく、日本の文化や、ポップ・カルチャー、あるいはお寿司やラーメンなどの食文化などについても質問されることだろう。

どこが一番美味しいお寿司屋さんだと思う?」といったことから、「ニンジャやサムライは日本にまだいるのか?」みたいな質問まで、いろんな質問を真面目に聞かれることになる。上述のスウェーデンやフランスやメキシコ出身という方々に、あなたもきっと同様の質問をするはずだ。

こうした質問は、その答えが知りたいだけじゃなくて(もちろんそういうケースもあるけど)、その質問にあなたがどのように答えるか?で、あなたがどのような人物かを知ろうという意図がある。

もちろん、全部の質問に答えられるわけないけど、何を聞いても「分かりません」「知りません」ばっかりの返事だったら、「あれ?この人、日本人なのに日本のこと何も知らないのね、がっかり…」とか思われてしまうかもしれない。自分の母国のことなのに答えられない、ということは、日本人が思っている以上に恥ずかしいことだ。

フランス人にフランス文化の質問をして、ことごとく「分かりません」と答えられたら、どう思う?答えが知りたいんじゃなくて、そういう質問にあなたがどのように答えるかを見たい、という意図がある場合は、なおさらだ。

「分かりません」ばっかりだったら印象が良くなる要素がない。シチュエーションによっては、信頼関係に影響が出てくる可能性もある。そういうことだ。信頼されなくなるなんてヤバイ。だから、最近のニュースを見ていて、「あー、これ聞かれそう」とか思う話題があったら、事前に自分で調べたり、詳しい人から話を聞いて、「考える」ことになる。

そして、ある程度勉強になったり、笑えたりするスモール・トーク用のネタを準備する。簡単に言うと「すべらない話」みたいな内容だ。しかも、話のジャンルはめちゃめちゃ幅広い。きゃりーぱみゅぱみゅから、歌舞伎や浮世絵などについてまで、いきなり聞かれることがある。

あるいは、女の子は野球のルールすらよく分かっていなかったりするけども、例えば、ヤンキース球場で松井選手が引退セレモニーを開催したり、イチロー選手が活躍してたりすれば、日本の野球について、誰かに聞かれたときに答えられるように、ある程度、話ができるように準備しておかないと安心して引退セレモニーを見に行けないだろう。

〔ご参考〕
愛知県の「忍者募集」が世界中でニュースに!!! でも、なぜ忍者は注目されるの?

ヤンキース球場での松井秀喜選手の引退セレモニー

3000本まで残り3本、敵チーム・ファンからも「彼はレジェンドだよっ!!!」と尊敬されるイチロー選手

Ichiro Suzuki records 3,000th MLB hit with towering triple

こうした事前のネタ作り…というか、自分がどういう人物かをちゃんと表現し、しっかり伝えるために準備をするのは、何も日本人だけに限ったことではない。みんな普通にやっている。しかも、たぶんほとんど無意識のうちに。まったく特別なことじゃない。

もともと持ってるお互いの文化が違うということが最初から明白なので、「こういう思いやアイデアをみんなに伝えるにはどう表現すれば良いか?」について、無意識のうちに、日頃からいろいろ「考える」というワケだ。そりゃもう、日本では想像できない次元で。それが習慣や文化になっていると感じるほどだったりする。

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