ギリギリで生きている日本経済に突きつけられた金融緩和のジレンマ

tsuda20160912
 

すっかり勢いを失ってしまった感のあるアベノミクス。日銀・政府とも様々な手を打ってはいるものの、金融緩和政策は限界に来ており、ここで根本的な問題を解決しないことには日本に未来はない、と見るのはメルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者・津田慶治さん。津田さんは、このまま行けば国家としての財政破綻だけでなく、中国との戦争までをも誘発する危険性があると警鐘を鳴らしています。

日銀政策会議の予測と日本の危機

日銀と政府は、ジレンマに直面している。日銀持分が巨大になり、国債買取量の削減をしないと継続できないレベルになっている。しかし、現時点で買取量を削減すると、金融緩和の縮小となり、円高を引き起こしてしまう。そのため、どうするのか。それを検討する。

状況

米国FRBが9月か12月に利上げすることは、市場が折り込み始めたことで、NY株が394ドル大幅続落になり、長期国債価格は上がった

FRBは簡単で、9月か12月に利上げを行うが、9月にあるかどうかに焦点があたっている。世界で利上げができるのは米国しかないので、やるしかない。世界経済が恐慌になった時の金融ツールを構築する必要があるからだ。

もう1つが、世界恐慌になる可能性を潰すことで、ドイツ銀行への制裁金を確定して、ドイツ銀行が破綻しないような行動をとり始めた。もう1つが、国際法を無視する中国への経済制裁を行うべきであるが、それを言い出さない。鉄鋼へのタンピング税を500%にしているのに、それを大事にはしていない。

ECBドラギ総裁は、現状維持の立場を明確にした。マイナス金利による欠点はあるが、現状の欧州経済状況では緩和と取られるマイナス金利の縮小はしなかった。

それに比べて、日銀の動向が不透明である。このため、日銀の総括検証に注目が集まっている。現在、市場関係者でも全く見当がつかない状況のようである。このため、私は金利ゼロの新40年国債で、日銀持ち国債を置き換えたと見たが、擬似ヘリマネを米国と市場は歓迎していないので、米国が利上げを見送りかつ円高になった時に、日銀・政府は行うことになると見る。この擬似ヘリマネは通貨マフィア間の交渉材料になっているようである。

しかし、日銀は国債市場で買取可能国債の量が少なくなり、国債買取量は、徐々に縮小させる必要があり、その代わりにマイナス金利の深掘りを行うことになるようだ。それしかないと見ているように感じる。

もし、国債買取量を減らして金融緩和縮小となったら、日本の経常収支は25カ月連続で黒字で、7月は1兆9,382億円と財務省が発表するように、1ドル=90円を超える超円高になる。この円高を円安にするためには、より一層の金融緩和が必要である。

今、非伝統的金融政策を取っているので、予測ができずに政策の欠陥をその都度、解決するしかないようである。

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