なぜ日本人ジャーナリスト常岡氏はイラクで拘束されたのか?

 

そのような理解を受ける背景には、「ISIS志願者を紹介しようとした」的な言動が過去にあったことがあるわけで、以降そのような理解をされないために、自分はISISとハッキリ手を切るということを以前にも増してハッキリ声明するほうが良いと思います。

とにかく、安倍政権は2015年初頭に中東を訪問して、シリアやISISに関連して発生する難民支援に関しては、国策として尽力するということを内外に発表しているわけです。その国策がどのようなニーズを持っているのか、また困難に直面しているのかということを見極めるためには、このモスル奪還作戦をめぐる諸相の多角的な報道が何としても必要です。

今回の拘束の背景に何があるのかは分かりませんが、これだけ国際的に重要で、また日本にとっても重要な問題に関して「日本人による状況報告」ができにくい状況を作るのは良くないと思います。

安倍首相の難民支援政策は、イスラエルで発表したのは効果を減じたと思いますが、基本的に悪いことではないのですから、それを活かすためにも、この地域の動静に関して必要な報道を通じて関心を喚起していくことは必要と思います。

image by: 常岡浩介氏Twitter

 

冷泉彰彦のプリンストン通信』より一部抜粋

著者/冷泉彰彦

東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは毎月第1~第4火曜日配信。

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