「2016年はVR元年」に異議あり! 第一次ブームは27年前に起きていた

2016.11.08
by まぐまぐ編集部
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先日、SONYより発売された「Playstation VR」。専用のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着することで、目の前に仮想現実の世界が展開される「VR」は今年最も注目を集めた技術のひとつで、マスコミは「VR元年だ」と連日のように報道していました。しかし、まぐまぐの新サービス「mine」で無料公開中の、日本バーチャルリアリティ学会会長・廣瀬通孝さんの記事によると、VRが世に出たのは実をいうと27年も前とのこと。廣瀬さんは同記事で、当時と現在のVRを取り巻く環境の違いを解説するとともに、なぜ初めに発表された当時は今ほど話題にならなかったのか、その理由についても語っています。

「VR元年」に異議あり

先日、SONYのプレステVRが発売になった。果たして品質はすばらしく、研究室の学生もかなりはまっているようだ。HMDをかぶってゲームに興じるあまり、椅子からころげ落ちて骨折でもしないかと余計な心配すらしてしまうぐらいである。

マスコミによれば今年がVR元年とか。しかしながら、この分野の専門家にとっては、この技術は昔からのものである。二巡目のブームとでも言えるだろう。そもそもVR(バーチャルリアリティ)という言葉が最初に使われたのは1989年のことである。西海岸のベンチャー企業であったVPL社が、サンフランシスコのある展示会に出展した「未来の電話」システムを称してそう呼んだのが始めである。パンフレットには確か、”Virtual Realty arrives!”とか書いてあった。

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写真にはHMDとデータグローブと呼ばれる手袋状のデバイスが写っている。ややレトロな感じを別とすれば、雰囲気的には今のニュースでも通用しそうだ。HMDをかぶると目の前に立体映像の世界があらわれ、まわり360°を見渡すことができるというのは今と同じである。さらにデータグローブは自分の手のうごきをコンピュータに伝えるデバイスで、それを使えば目の前の物体をつかみ上げることができた。(写真はVPL社・社長(当時) J.J Grimaud氏の好意による)

歴史は繰り返すとはよく言ったもので、今日大騒ぎのVRとほぼ同じことが27年前にすでに可能だったのである。ちなみに、そのHMDの名前がなんと「アイフォン」であった。もっとも綴りは「EyePhone」であるが。VPLのEyePhoneは、解像度100×150、それで300〜400万円ぐらいと、今考えればとんでもない代物であった。現在であれば数万円でハイビジョンクラスのHMDが手に入る。

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