■7.私が自分の親に苦しみを訴えたように、A子も親に訴えてみたんだね。
でも、両親は全く理解してくれなかった。むしろ「返り討ち」にあったみたいだね。
父親も母親も、自分を正当化するのに必死だったみたいだね。
だけどさ、さっき書いたことをもう一度、書くよ。
貴女だけでなく、私だって、この世の誰もが、
愛する人には、自分の傷を「よしよし」して欲しいと思っている。
この一文を、両親の人生に当てはめて内観してみて。
彼らにも、10代があり、20代があり、30代があって、貴女が生まれているんだよね。
彼らの10代や20代の頃、彼らは愛する人に「よしよし」してもらえてたと思う?
「親の仮面」を外して、両親を両親とは見ずに、「自分と同級生の男子や女子」だと想像して、彼らの若い頃を想像してみて。
彼らにだって傷は絶対にある。傷のない人間なんて一人も居ないけど、彼らが抱えていた傷は、愛する誰かに「よしよし」されて、癒されて、親になったのかな?
そうであれば、私のように、A子の傷に寄り添う余裕は絶対にあるはずだけど、彼らが我が子にすら寄り添えない現実は、何を意味していると思う? 分析してみて。
■8.大事なのは【 言葉の奥の本音を、自力で見抜ける力を養う 】ことなんだよ。
A子の発言の奥にある、本音。
彼氏の発言の奥にある、本音。
父親の発言の奥にある、本音。
母親の発言の奥にある、本音。
大事なのは、見抜かないといけないのは、
「何を言ったか」ではなく【 その奥で、本当は何を思っているか 】なんだよ。
私から見ると、A子は、自分の言葉の本音を自覚できてないと思うよ。
貴女の、愛する男に向かう裏腹な嫉妬や束縛には、ちゃんと正当な理由がある。
5番目に書いたけど、彼にも【 貴女と同じ不自由 】を体験してもらう必要があるから、貴女は彼を追い詰めるし、嫌われてもしがみつく。貴女の中では、正当な理由なんだよ。筋が通っているの。
でも貴女は、自分でそれをやっておきながら、それをやる理由を自分で分かっていない為に、自分を嫌悪しちゃってる。
彼にも嫌われているから、ますます裏腹な自分にイライラしちゃう。
A子は、彼に意地悪をしたくて病的な過干渉をしているんじゃない。
「愛する人には自分の闇に寄り添って欲しい。その為には自分と同じ経験をさせる必要がある」と、貴女が奥底で、無意識に判断しているから、敢えて そういう行動に出ている。
でも、それでいいの。貴女の理屈で合っているの。そこはそこで、自分を認めてあげて欲しいの。
そして、別の問題として、彼の本音を想像して欲しい。
(私の理屈は、私の中で筋が通っている。だから自分を嫌いになる必要はない。だけど、なーんにも知らない彼氏は、私の表面に出た言動で、私の真意を汲み取れるかな?)って。
超能力者でも無理じゃない?(笑)
私でも無理だよ。A子から親との関係や過去の経験を詳しく聞いて、ずいぶん時間が経った今、こうやって書きながら、ふと、5番目が浮かんだんだもん(笑)
彼氏に、貴女のこの「複雑な思考回路」を理解しろ、って言うのは無理があると思わない?
両親についても同じ。彼らは子供である貴女の本音を汲み取れないけど、子供である貴女も、両親の「独身時代の苦悩や本音」を汲み取れていないでしょう?
もうひとつ言うと、彼らの主張である、
>いままで私のために人生を我慢して育ててきたのに、
これは真実だよ。
貴女も我慢してきたけど、両親も絶対に我慢してきた。
そうでなければ、貴女は今、生きていないよ。
彼らがA子に与えてきた愛情と、A子が欲しかった愛情は違っていたけど、人生には「良かれと思ったことが裏目に出た」という経験はありませんか?
貴女が今、彼氏にそういう経験をして空回りしているように、両親だって完璧じゃないのだから、貴女にしてきたことが裏目に出て、恨まれて、相当ショックだろうし、(努力が報われなかった…)と落胆している部分はあるはずだよ。
でもまぁ、それでいいんだよ。
彼らもそうやって「失敗」することで学ぶのだから、それでいい。
親が自分の未熟さに気付いて悔い改めることを待つよりも、自分が先に、自分の未熟さや想像力の無さに気付いて、一歩先に進んだ方がいいよ。
何故なら、今、私がこうやって貴女の両親を私なりに分析できるのは、彼らと同じ土俵に立っていない証拠だからだよ。私は自分の両親にも同じような分析をして、今では両親より何歩も先に進んでしまって、我が親ながら情けない言動があってもスルーしてるよ。
ムカつく両親と同じくらいしか想像力がないから、自分が苦しいんだよ。
もっと視野を広げて、俯瞰して相手を分析できたら、理性で内観できたら、両親の苦しみや、理解力のなさで人生が停滞しているであろうテーマすらも、自然と見えて来るようになるよ。反面教師にできないうちは、A子も所詮、両親と同レベルなんだよ。