名古屋流ビジネスが成功する秘訣は「売ろうとしない」こと

 

建築会社 インテリアデザイン会社の事例

愛知県一宮市にある、建築士の方が運営するショールーム「Pa★Du-Due」(パドゥドゥ)さんからニュースレターが届いた。Pa★Du-Dueさんでは、キッチンを中心に「大人カワイイ」をコンセプトとするインテリアのプランニング、新築やリノベーションを手掛けている。

このレターにあるのは、オーナーである水谷聡子さんの感性を反映した、女性らしくとても美しいキッチンの実際の画像とその説明、そして「思い」が説明されている。Pa★Du-Dueさんが顧客に提供する価値は価格の安さではなく、オーナーの水谷聡子さんという大人の女性が持つ感性を活かした家族だんらんができるための場所なのだ。

このニュースレターでは、その「施工事例」を見せることで共感を持ってもらうことが目的である。建築会社の場合、一度家を建てると次はなかなかないため、再購入を促すためにリピートユーザーへのアプローチをしない場合が多い。しかし、自社独自の価値を提供できた顧客は、当然自社への思い入れも強くなるため、よいクチコミをしてくれることが期待できる。したがって、顧客名簿を精査し、自社に響く顧客に対してこのようなニュースレターを送付することで、顧客の心の中での自社へのシェアが上がるのだ。

このように、純粋に想起してもらえる率=Top of Mind Market Shareを高めていくと、「あの建築会社よかったからあなたもどう?」と友人に教えてくれたり、逆に「今度、私も家建てるんだけど、、、」という話になったときに「Pa★Du-Dueにしたら? よかったわよ」となる。

顧客がリピートやクチコミをしてくれない最大の理由は「忘れてしまうから」。上顧客には、このようなニュースレターを送付することで自社のことをいつも覚えておいてもらうべきなのだ。

名古屋の人は、一見さんを警戒するが、一度仲良くなると、そのままずっと大事にしてくれる。つまり、「を大事にするのだ。名古屋流のビジネスは、「入口は狭いが奥行きが広い」のが特徴である。あつた蓬莱軒とPa★Du-Dueに学ぶべきは「おなじみさんに何ができるかを徹底的に考えることで収益を好転させることができる、という点に尽きる。

image by: Shutterstock

 

理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』より一部抜粋

著者/理央 周(めぐる)
あのヒット商品はなぜ「ヒット」したのか?あのレストランの予約は、なぜいつも取れないのか?世の中で「売れているモノや人気者」はなぜヒットするのでしょうか?毎号実際の店舗や広告を取り上げ、その背景には、どんな「仕掛け」と「思考の枠組み」があるのかを、MBAのフレームワークとマーケティングの理論を使って解説していきます。1.「中小企業経営者・個人事業主」が売り上げを上げる 2.「広告マン・士業」クライアントを説得する 3.「営業マン」が売れない病から脱するためのメルマガです。
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