失墜した影響力。それでも日本は国連の常任理事国入りすべきか

 

いまだに残る敵国条項

国連には敵国条項(※1)があり今もなお続いている。戦争中に作られたためこういった条項となっているが、これも障害の一つであった。これに対して、日本は平和憲法をもつ平和愛好国に生まれ変わったと説得した。また、国連では加盟国に集団安全保障の立場から軍隊を提供することもあり得るとされているが、日本は軍事的貢献以外のあらゆることをするとして軍事協力の義務が保留となり、加盟が認められた。

これらを振り返ってみると、自衛隊の海外派兵などずいぶんと状況が変わった。1990年代までは日本はおカネを出すことで義務を果たしてきたが、「顔」が見えない「ショー・ザ・フラッグ、旗を見せろ」とアメリカなどから批判された。このため、後方支援を目的として自衛隊が出動するようになった。現在は地球上のどこでも支援に行けるよう国内法も変えてしまった

常任理事国入りを切望する日本

そういった状況において日本は安全保障理事会(安保理)の常任理事国に就任したがっている。これはなかなか難しいと思うが、以前から準常任理事国の創設という案を提出しており、それが実現した場合にそこに入れるかどうかがこれからのポイントだろう。日本はこれまで非常任理事国(※2)を11回務めているが常任理事国になると情報量が違うことから常任事理国の仲間入りをしたいと思っている。

近年、国連の力が減少し、世界の中心となる国も徐々にいなくなっている。そういう意味では日本にとってチャンスではあるが、日本がどれだけ国連に貢献しているのかをきちんと示す必要がある。

日本の存在感をいかに示すのか?

緒方貞子さんが国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の責任者になり、相当大きな働きをしたということでその当時は存在感があったが、日本人の国連職員は3%弱と少数であり、国連主義ということであればもっと力を発揮していく必要がある。日本はどちらかというと国連決議において、アメリカの言い分を聞き、そこに追随している。そこをどう脱皮するのかということも非常に大事である。

国連は力を失い、世界の中心はアメリカではない。さらに、中国が台頭し、ロシアに対しては制裁中である。さまざまな問題を抱え、転換点であると考えると日本が入るチャンスではある。転換点にさせる力を日本がどう発揮するのかということが、ポイントであろう。

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