【北朝鮮】金正男氏暗殺の背景を新聞各紙はどう報じたか

 

3代世襲に反対

【東京】は1面左肩に基本的な事実。2面の解説記事「核心」、5面の社説、9面外報面と26面「こちら特報部」にも関連記事。まずは見出しを。

(1面)

  • 5年前 北が殺害指令
  • 正男氏は撤回を懇願
  • 女1人拘束、複数犯か

(2面)

  • 命乞い無視 兄を粛清か
  • 「正恩体制の脅威ではないのに」
  • 支援の叔父処刑 中朝関係に影も
  • 混雑する空港 一瞬の隙突く

(5面)

  • 恐怖政治に潜む深い闇(社説)

(9面)

  • 正男氏殺害現場 騒然
  • クアラルンプール 空港にメディア
  • 市民ら「スパイ映画みたい」
  • 遺体収容病院 北大使館の車

(26面)

  • 暗殺の歴史 背後に独裁
  • ロシアも反体制派が犠牲

uttiiの眼

《東京》は3面の解説記事で、正男氏が、父、金正日政権の末期に日本などのメディア取材に応じ、「3代世襲に反対」「改革開放しかない」と、公然と発言していたことを指摘。そして、父の死後、身の危険を感じた正男氏は正恩氏との関係改善を図るため、北朝鮮への外貨導入に動いていたとの情報があるとする。平壌郊外に総投資額1200億円でリゾート・カジノ施設開発を行う予定だったが、張氏の粛清を機に計画は宙に浮き正恩氏によって開発にブレーキが掛かったという。やはり、「偏執狂的な性格」云々では済まされず、利権を含めた複雑な関係の中で暗殺が実行されたという理解になるかと思う。

26面の「こちら特報部」の「ニュースの追跡」は、暗殺の歴史と独裁についてまとめた記事。「世界を見れば、政府要人やジャーナリストの暗殺は後を絶たない。凶行はなぜ繰り返されるのか」として、北朝鮮が行ったと見られている過去の暗殺事件、そして北朝鮮が開発しているとされる「暗殺技術」について触れている。

そして、アメリカのケネディ大統領、インドのインディラ・ガンジー首相とその息子のラジブ・ガンジー首相のケース、またプーチン政権の下で殺されたロシアのジャーナリストや野党指導者、ロンドンで毒殺されたリトビネンコ氏のことなどを振り返る。

あとがき

以上、いかがでしたでしょうか。

逮捕された女はもう1人の女と旅行に来ていて、別の4人の男に「乗客にイタズラを仕掛けよう」と誘われ、正男氏にスプレーを吹きかけ、ハンカチで口を塞ぐよう指示されたと供述しているようです。

もう1人の女(インドネシア国籍のパスポート所持)も逮捕されたとか。最初に捕まった女は、1人で空港をウロウロしているところを逮捕されたとのこと。いよいよ、奇っ怪な事件に思えてきました。イタズラを偽装して無関係の人に要人殺害を実行させる…そんな暗殺手法があるでしょうか。早く、詳細が判明することを望みたいと思います。

image by: MAG2 NEWS

 

内田誠この著者の記事一覧

ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

有料メルマガ好評配信中

  メルマガを購読してみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 uttiiの電子版ウォッチ DELUXE 』

【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

print
いま読まれてます

  • 【北朝鮮】金正男氏暗殺の背景を新聞各紙はどう報じたか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け