辞める理由
少しは会社そのものにも理由があったかもしれません。しかし、本当の理由は上司である私にあったのだと思うのです。
部下からすれば、私は実に鼻持ちならない上司だったのでしょう。「仕事ができる」とうぬぼれています。「私の考えに間違いはない」と、思い込んでいます。平気で会社の批判を口にします。上役にたてをつくことがカッコいいことだ、なんて思っています。部下は、それで喜んでついてくると思っていました。なんとひどい上司でしょう。
部下が辞めた理由は、それです。会社そのものより、私の考え方ややり方に不満があったのです。そして、そんな上司を置いている会社は同類だ、と考えても不思議はありません。
では、先の小売店の経営者の場合はどうでしょうか。上司と折り合いが悪かったのが、辞める本当の理由だったのでしょうか。
この経営者は、大変優秀な方です。自分の腕で業績を伸ばしてきたと、自信満々です。しかし、もしかしたら社員が辞める原因は、かつての私の場合と根は同じかもしれません。つまり、原因は上司ではなく、経営者の考え方や振る舞いにあるのかもしれないのです。
そうだとすれば、今後も辞める社員が出てくることでしょう。経営者は、その時も「どうして辞めてしまうのだろう」と繰り返すのでしょうか。








