天皇陛下が日本人名に気付かれた逸話も。知られざる日系二世の大統領

 

「これまで、一生懸命頑張ってきてほんとに良かった」

娘のローズマリー・ナカヤマが、皇太子殿下から「お父様にもぜひお会いしたいものですね」とのお言葉を頂いたのが、大統領となった最初の年だった。それを聞いたトシヲは大変喜び、独立を目指す国家を代表して、殿下にお会いし、その光栄を国民に報告したいと願った。今でも皇室を尊崇しているミクロネシアの日系人にとって、それは最高の喜びとなるだろう。

ただ、未だ正式な独立国となっておらず、日本との外交関係も確立していない段階で、公式にお会いすることは出来なかったが、殿下御自身のご意向で、私的に午後のお茶に招くという形で、トシヲの願いが叶えられた。昭和59(1984)年5月15日、トシヲは東宮御所において皇太子・同妃両殿下に拝謁した。拝謁後、トシヲは興奮気味にこう語った。

殿下、妃殿下とも素晴らしく美しい英語を話され、日系人であるわれわれに対する思いやりにも深いものがありました。

 

皇太子殿下、妃殿下にお会いできたことは、私たちの生涯で最大の栄誉でした。両殿下は、島の人々の暮らしぶりや日系人のことにとてもご関心が高く、いろいろ質問されました。…これまで、一生懸命頑張ってきてほんとに良かった。

文責:伊勢雅臣

image by: Shutterstock.com

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【著者】 伊勢雅臣 【発行周期】 週刊

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