「白髪は抜くと増える」説。これは本当なのか?

2017.05.29
by Mocosuku
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自分の頭髪に白髪をはじめて発見すると、「歳をとった!」ということをいやでも感じさせられますよね?

見つけるとどうしても抜いてしまいたくなる白髪。

でも、抜くことはいいことなのでしょうか。それとも抜かない方がいいのでしょうか。

今回は白髪について詳しく解説します。

白髪のメカニズムとは

実は、髪の毛はもともと白いものです。

髪の毛が作られる過程でメラニン色素が自然に混ざることで、色がついた状態で生えてきています。

メラニン色素には、黒色メラニンである「ユーメラニン」と、黄色メラニンとも呼ばれる「フェオメラニン」があります。

髪の色は、この2種類の組み合わせで作られています。

ユーメラニンが多ければ黒い髪色に、フェオメラニンが多ければ明るい髪色になります。黒髪である日本人のメラニンは、大部分がユーメラニンです。

メラニン色素は、「メラノサイト」という細胞で作られています。

そして、メラニン色素を作るには、「チロシナーゼ」という酵素が必要です。

チロシナーゼは、加齢などが原因で十分に働かなくなります。

すると、メラニン色素が作られにくくなって、髪に色がつけられなくなり、白髪が発生します。

白髪の原因:日常生活が大きく関係

チロシナーゼが働かない原因を「加齢」とお話ししました。

確かに、歳をとると毛根部のチロシナーゼの量が減って、機能が低下してメラニン色素が作られなくなります。

けれど、中には「若白髪」という人もいますね。

これはつまり、老化以外の原因でメラニン色素がつくられないことがある、ということを意味しています。

それでは、老化以外の原因にはどんなものがあるでしょうか?

一般的に「白髪は遺伝する」といわれています。確かに遺伝要素もないわけではありませんが、遺伝だけが原因となるということではありません。

実際には、さまざまな要因が相互に絡んでいることがほとんどでしょう。

老化や遺伝以外の要因として考えられるのは、生活習慣です。

とくに次のことが関係しています。

食生活

健康な髪のためには、ミネラルやアミノ酸、ビタミンなどが必須です。

偏った食生活、無理なダイエットなどにより、栄養素が体に行きわたらないと、白髪は、年齢に関係なくでてきます。

睡眠不足

不規則な生活で、睡眠不足などが続くと、自律神経のバランスを乱します。すると、新陳代謝や血行が悪くなり、白髪の原因となります。

ストレス

ストレスも自律神経の乱れを起こすので、髪に影響を与えます。

白髪が気になってくると、それがまたストレスとなり、悪循環を起こしてしまいます。

ストレスは、白髪の要因として、最近増えています。

病気や薬

病気や治療薬による副作用でも白髪がでます。たとえば、胃腸疾患や甲状腺疾患などでは、白髪を増やすことがあります。

また、薬の副作用でも白髪になることも少なくありません。

ところで、「白髪は抜くと増える」などといわれますが、それは本当なのでしょうか。

また、抜くことはいいことなのでしょうか。

白髪は抜くと増えるの?

白髪は、メラニン色素の働きが衰えて出てくるものなので、抜いても抜かなくても毛穴からは、白髪が生えてきます。

しかし、白髪を抜くのは、頭皮のトラブルのもとになります。

無理に白髪を抜くと、毛穴周辺の皮膚や毛細血管に傷がつき、頭皮の炎症を起こすことがあります。

毛母細胞(髪をつくりだす働きがある)がダメージを繰り返し受けると、髪の毛そのものが生えてこないことになるので、注意が必要です。

ですから、「抜いても少しもいいことはない」ということですね。

白髪予防にできること

白髪がちらほら気になり始めたら、改善のための対策を考えましょう。

原因のところでもお話ししたように、加齢以外にも白髪の原因はありましたね。

次のことに気をつけましょう。

髪や頭皮の栄養となる食品を摂る

髪や頭皮への栄養が不足して白髪になります。髪の毛の成分は、タンパク質が約80%です。

そのほか、水分が12~13%、脂質が1~8%、ビタミン・ミネラルなどが1%ほどです。これらを摂ることは、白髪予防につながります。

髪の栄養となる栄養素と多く含む食品をあげていきます。
 
・タンパク質
 肉、魚、牛乳、豆類、卵など

・ビタミンE
 ウナギ、アーモンドなど

・ビタミンC
 ブロッコリー、パプリカ、アセロラ、イチゴなど

・ビタミンB2
 レバー、ウナギ

・ビタミンB6
 バナナ

・亜鉛
 牡蠣、ホタテ、豚レバー、納豆、ゴマ、牛肉・豚肉・鶏肉など

・カルシウム
 乳製品、小魚、海藻類、モロヘイヤなど

・銅
 鶏レバー、牡蠣、納豆、アーモンド、甲殻類など

・そのほか
 良質な油、オリーブオイル、エゴマ油など

身体を温めてくれる根菜類、ニンニク、栗、サツマイモなども効果があるといわれています。

また、黒豆、ヒジキ、黒ゴマなど黒色の食べ物もおすすめです。

血行をよくする

冷え性だと、血行不良が起こります。頭部は多くの血管が張り巡らされているので、血行不良の影響を受けやすい場所です。

頭部の毛細血管まで血液が運ばれないと、毛根のまわりで十分な細胞を作り出すことができなくなります。

睡眠を十分にとる

睡眠不足は、自律神経を乱し、血流そのものを低下させます。

また、睡眠不足が慢性的になると、身体が酸素不足になります。

酸素は人間の身体を活発にはたらかせる大切な要素であり、細胞を活発に作り出すためには欠かせないものです。

ストレスをためない

現代はストレス社会といわれるほど、さまざまなストレスであふれています。

ストレスは、自律神経に影響を与え、血管が収縮しやすくなるので血行不良を起こします。

また代謝を低下させ、免疫力を弱くさせてしまい、頭皮自体の健康を保つことが難しい状態になります。

白髪の原因は、何か1つが原因というわけではなく、いろいろな原因が重なってできていると考えらえます。

バランスのよい食生活と規則正しい生活習慣は、健康な髪を作る上での基本です。

ふだんの生活を見直してみましょう。

 

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)

医療監修:株式会社とらうべ

 

<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

image by: Shutterstock

 

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記事提供:Mocosuku(もこすく)

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