ジャーナリスト志望の詩織さんは「あなたならTBSのワシントン支局であれば、いつでも仕事を紹介する」と言う当時のTBSワシントン支局長、山口氏の言葉を信じ、就職相談のため2015年4月3日の夜、東京で会った。
二人は恵比寿の串焼き店で落ち合い、詩織さんはビールをコップで2杯、グラスのワイン1杯を飲んだ。その後、山口氏が予約していた行きつけの寿司店に移動し、そこで異変が起きた。
「約1時間ほど経ってから、突然めまいがしたので私は2度目のトイレに立ちました。そして、給水タンクに頭をもたれたところで、その日の私の記憶は途絶えています」
寿司店では日本酒2合を山口氏とシェアした。アルコールには強いようで、「私はこれまで酔って記憶をなくしたことがありません」と言う。だから彼女は「デートレイプドラッグを混入されたと思っている」と日刊スポーツのインタビューに答えている。デートレイプドラッグといえば睡眠薬だ。
「私の意識が戻ったのは翌朝の午前5時ごろ。ホテルのベッドの上でした。私は裸にされており、山口氏が仰向けの私の上にまたがっている状態でした。事件から数時間後、近くの婦人科に行きました」
この事件を最初に報じた週刊新潮の記事によると、ホテルは、シェラトン都ホテル東京。ツインルームで、ベッドは一つしか使われた形跡がないという。
詩織さんは高輪署に訴え出た。当初、警察は応じてくれなかったが、4月30日になって、ようやく受理された。
「捜査員の方から君の人生が水の泡になる、などと言われ、考え直すように説得されました。ホテルの防犯カメラを調べてもらえれば私の言っていることが本当だとわかるはずです、と訴えました。そして映像の私が山口氏に抱えられ引きずられていく様子を確認し、ようやく捜査に取り組んでもらえるようになったのです」
その後の捜査で、午後11時ごろ寿司店を出てホテルにタクシーで向かったことや、車内での二人の様子もわかってきた。
「私と山口氏を乗せたタクシーの運転手の方によると、私は車内で、近くの駅で降ろしてくださいと何度も訴えていたのに山口氏がこれを聞き入れず、何もしないから、仕事の話をするからと、ホテルに向かう指示を出したそうです」
詩織さんの話をもとに、ここまでを素直に解釈するなら、山口氏は計画的にコトを進めたといえる。
山口氏は就職の世話をエサに、詩織さんと食事の約束をし二軒の店をハシゴして詩織さんに酒を飲ませ、泥酔させた。睡眠薬を飲ませた疑いもある。そのうえで、予約していた大きなホテルのツインルームに連れ込み、正常な意識、判断力のない状態にある詩織さんの衣服を脱がせて性交渉に及んだ、ということになる。