現役医師が警告、「ソーセージ」がもたらす早死にの恐怖

 

食肉は食肉祭で

人間への進化の過程での食生活を振り返ってみましょう。まず、人間に近い動物であるゴリラはベジタリアンです。チンパンジーは肉を食べはしますが、ごくたまにのみ食べます。アウストラロピテクスはほぼベジタリアンでした。人間が肉を食べるようになったのは、約一万年前からです。クロマニヨン人はトナカイの肉を食べてはいました。しかしながら、それは少量で稀なメニューでした。

人間の歴史ではどうでしょうか。古代ギリシャでの食肉は食肉祭としての特別なものでした。農業革命後から19世紀までのヨーロッパでも食肉は平均して週1回以下でした。肉の重量でみると年間一人当たり5〜10キロ程度でした。

現在の欧米人は年間一人当たり100〜150キロ程度の肉を食べています。つまり、昔の人と比べて現代人は10倍以上もの肉を食べているのです。毎日取り込まれる総エネルギー量の15〜20%が食肉由来となりました。

畜産業の拡大がもたらしたもの

このような食肉の増加により、地球上の畜産業は爆発的に拡大しました。地球上の動物バイオマス(生物量)のうち5分の1は家畜です。この惑星を征服しているのは人間かもしれませんが、バイオマスでみると家畜は人間の4倍量となっています。

食肉の問題は短命だけではありません。早期の性成熟の原因ともいわれています。女性の初経(月経開始)年齢が低下してきています。脂肪摂取が増えただけでなく、これらの肉にはさまざまなホルモン類似物質が含まれていることもその理由です。

畜産業は感染症の脅威にも関係しています。家畜の成長促進のために大量の抗菌薬抗生物質が餌のように与えられています。人間に対する抗菌薬の使用と合わせて、家畜への抗菌薬の使用により薬剤耐性細菌が蔓延するようになりました。

また、人獣共通感染症のリスクが増えています。もともとこれも人畜共通感染症と呼ばれていました。多数の豚の畜産場では、豚の体内でインフルエンザウイルスが遺伝子を交換できる環境となり、病原性の高い株のウイルスが登場するソースとなっています。驚くべきことには、畜産動物に投与された生ワクチンウイルスも遺伝子交換によって病原性を獲得している可能性も指摘されています。

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