少し話は変わりますが、最近、服飾業界のしまむらが「洗える浴衣」の宣伝をしているのをご存知でしょうか? 家の洗濯機で浴衣を洗って干せば、またすぐに使えるという宣伝です。このコマーシャルを見た人の反応の多くは、「家で洗えるなんて良い! 欲しい!」といった感じでした。ですが、業界の方々や、着物関係に詳しい方々の反応は冷ややかで、「浴衣が家で洗えるなんて当たり前だろう」という反応だったのです。
これは、冒頭に出てきたお店とまったく同じ状況ですよね。
詳しい方々は、浴衣が家で洗えることなんて、誰もが知っていることだと思っています。むしろ、「そんなことも知らないのか?」と、びっくりしてしまうほどです。
いや、知ってるわけないですから。
そこに時間を費やしてきた業界人にとっては当たり前のことでも、他の人は費やす時間の対象がまったく違います。当然、知識には差が出てきますし、本当に小さなことでも知らないという人は星の数ほどいます。いえ、知らない方が当たり前というレベルです。
実際、「そんなことも知らないの?」という人に、まったく別の業界の当たり前の知識を伝えても知らない人がほとんどでしょう。だって、学んでないのですから。そこに関して発信をしていないから、新規のお客様は近寄ってきません。よくわからないものに自ら進んで近寄っていく人は少ないですよね。しまむらの「洗える浴衣」は、これらをよく理解されている宣伝だと思います。
自店の情報発信をよく見直してみてください。
本当に、知らない人が見ても、理解できる内容でしょうか? 知らない人が見たいと思うような内容になっているでしょうか? 「知ってて当たり前なんだから、いちいち伝えなくても」…こんな感覚はありませんか? その感覚が、業界を殺します。
お客様はどんな情報を求めているのか、常に思考を柔らかく、見定めていきたいですね。
今日のおさらいです。
- 業界とお客様の当たり前の感覚は違う。
image by: WikimediaCommons(掬茶)