中国企業の日本進出が加速。買収される「メイド・イン・ジャパン」

 

シャープを買収した鴻海もそうでしたが、巨額の投資を貪欲に行い勝機に食らいついて離さない積極性は、中国企業が持つ特徴なのかもしれません。しかし、同時に非常に重要なニュースも配信されています。中国企業の工場から出る環境汚染の深刻化です。

埋められた毒 中国が隠す土壌汚染

パリ協定を離脱したアメリカの代わりに中国が世界を牽引するリーダーとして名乗りを上げているような報道もありますが、パリ協定というのは環境保護を目的としたものです。

中国が環境保護というテーマで世界を牽引する資格があるのかと問われれば、全くありません。中国が行っている対外インフラ投資も、ミャンマーのミッソンダム、ニカラグア運河など、環境破壊から多くのプロジェクトが地元の反対にあい、中断に追い込まれています。また、ご存知の通り大気汚染によるPM2.5で北京から脱出する人々が出ています。

中国政府は大気汚染対策を早期に実施し、改善を図るとして石炭の使用量を制限したり、世界一の風力発電設備を整えたりしていますが、実態はあまり変っていません

また、水質汚染も改善されることはなく、中国の水は相変わらず汚いままです。しかし、それ以上に深刻なのは土壌汚染です。記事によれば、広州市では工場から排出された汚染水が水田に入り、多くの家庭で「カドミウム米」を食べているというのです。

カドミウムが入った食品を日常的に食べれば、腎臓障害、肺疾患、骨の異常、癌などを引き起こします。しかし、こうした土壌汚染は目に見えにくく、食品をいちいち検査しなければ気が付かずにやり過ごしてしまいます。

悪影響が出るのは数年後または十数年後のため、原因も特定しにくいのが土壌汚染です。そうしたことを分かっていながら、土壌汚染対策を推進せず、企業の利益だけを追求することに目をつぶっているのが中国政府です。国民の健康よりも企業の利益のほうが優先される。それが中国です。

日本では、いくら工場に課す環境基準が厳しいとはいえ、ごまかすことはいくらでもできるでしょう。日本企業は、企業責任を果たすというモラルと使命を貫く姿勢と理念を持っているからこそ、環境基準を守り、環境保護に貢献しているのです。

ただ、日本も戦後の過渡期を経て、水俣病やイタイイタイ病など多くの教訓を経ているからこそ今の日本の環境保護があります。そうした経緯を経験せず、時代錯誤に工場排水を垂れ流して平然としている中国企業が、日本に工場を建設したからといって日本の環境基準を守るかどうか。

アフリカに進出した中国企業にしても、現地に雇用を生まず、自然環境を破壊するといったルール無視のやりかたが、現地の憎しみを増幅させ、アフリカ各国で中国人襲撃事件などが頻発しています。同様のことが、日本で起こらないとは限りません

環境は、一度汚染されたら取り戻すのは非常に困難です。日本人はそれをよく知っているからこそ、環境をこれほど大切にしてきました。そうした努力を中国企業に土足で踏みにじられないよう、日本政府はきっちりと監視するべきです。

監視の目を強めて、警戒心を怠らず、ごまかしがないように徹底しなければなりません。自己責任などという甘いことを言っていては、戦後の悲劇が再現されかねません。

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