教員不足解消のための「大量採用」が、学校を多忙にしている矛盾

 

原因の一つに、大量採用によって門戸が開きすぎたことが考えられるという。要は、今までなら採用しなかった人材をも数が足りないのでとにかく採用することになる。そうすれば、本来なら教師の仕事への志がそんなに高くない人や、現段階では採用に適さない人材も含まれることになる(人材としては適しているのに試験に弱いという人も中にはいると思うので、その面ではプラスのチャンスでもある)。経験のない新規採用者が多いということも考えられるが、新規採用者の質も問われる形となった。

また、単純に数が増えることで、別のデメリットもある。どの学校でも、学級経営に特段力のある方がいると思う。私の地元を思い浮かべると、50代の女性ベテラン教員に多い(いくつになっても笑顔が輝いていて、若々しいのですぐわかる)。この人が40人の学級を見ていたのが、30人で済むことになる。つまり、力のある人の担当する人数も減るのである。そして、学校にいる子どもの絶対数は変わらない。これは、全体の利益としてはやはりマイナスである。身も蓋もない話だが、「より忙しい人に仕事を頼め」というのは、組織としては真理である。

要は学級担任を考える場合、量より質なのである。大量に採用するより、試験内容を吟味し、適した人材を厳選する方が大切なのである。そして、ここは結構ポイントなのだが、この場合の必要な「質」とは、格段晴らしい実践をする人のことではない。情熱があって一生懸命で何とかかんとかやっていけそうな人物であれば満点なのである。そこさえ落とさなければ、現場としての最低基準は満たされる。

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