じゃあ、高齢者が怒りを抑えられないのは、性格の問題じゃないのね…と思いますが、必ずしもそうではなく、加齢による脳機能の低下により、もともと持っている性格がさらに「剥き出し」になるということもあるようです。イライラしやすい性格の人は、老化により脳の機能が低下すると、そうした性格がさらに顕著になるのです。自己中心的な性格の人は、常に、自分は悪くない、悪いのは他の人だと思い込んでいるので、他人に対してキレやすいのですが、それが高齢になって、より顕著になるのです。
また、挫折を知らない人や現役時代に社会的な地位が高い人は、自分の思い通りにならないことがあるとすぐ相手を責めがちです。これまでのピラミッド型組織ではそれが通用しても、コミュニティの中では通用しませんから、イライラする場面が増えます。それが、感情のコントロール能力の低下によってより抑えられなくなり、総会の場等で爆発しやすくなります。
でも、そういう脳の構造がわかっていたら、怒りを自分でコントロールすることも可能なのです。
最近、アンガーマネジメントとか、アンガ―コントルールという言葉をよく聞くようになりました。まさに、怒りのコントロールです。「怒り」というのは、「うれしい」「かなしい」「不安」といった一次的な感情ではありません。そこから生まれる二次的な感情です。だから、コントロールもできるものです。
まず、基本は、「怒り」を爆発させることが、周りを傷つけ、自分にとっても利益にならないことを感情が安定しているときに論理的に理解することです。で、「怒り」がこみ上げてきたら、あっ、きたきた、でも、これは脳の働きなんだからコントロールできると意識します。そして、数秒間、深呼吸をして、「怒り」が収まるのを待ちます。そうすると、すっと「怒り」の波が引き、爆発させずに、話をすることができると言います。さらに、どんなときに自分が「怒り」を感じたを記憶しておき、自分が「怒り」を感じる場面や理由を客観的に理解できるようなると、事前に、予防をすることも可能になります。
それから、高齢化による脳機能の低下を防ぐためには、普段から、脳をまんべんなく使うことだと言います。初めてのことにチャレンジしてみるとか、いつもと違う人と話をしてみるとか…。そういえば、活動的で、いつも周りとコミュニケーションをとっている人が突然、怒り出したり、人を罵倒する…ってあまりないですよね。
人を罵倒する言葉は、相手も、自分も、それを聞くことになる周囲の人も傷つけます。怒りっぽいと言われることがある方は、ご自身のためにも。