知らないと大損。年金が払えないなら活用すべき「免除制度」とは?

 

免除にした部分は、過去10年以内であれば後で国民年金保険料の追納を行う事によって65歳以降の老齢基礎年金額を増やす事が可能。例えば全額免除部分を1ヶ月分追納したら老齢基礎年金年額1,623円(→779,300円÷480ヶ月)増える形。

なお、全額免除以外は免除された残りの国民年金保険料を2年1ヶ月以内に支払わないと単なる未納扱いとなり、10年以内の追納は不可。例えば4分の3免除が通ったら4,120円を支払わなければただの未納期間となり、4,120円を支払っておけば免除期間として過去10年以内であれば残りの保険料額の追納が可能。免除にしてない場合は、国民年金保険料納付時効である過去2年1ヶ月以内までの滞納期間までしか納める事はできない。

なお、追納する場合は3年度以前の部分を納める場合は当時の保険料よりやや高めの保険料を支払う必要がある。

平成29年度国民年金保険料追納額(日本年金機構)

また、免除期間部分を追納する場合は年金事務所で追納の納付書を発行してもらって、一番古い部分から先に納めなければならない。例えば10年前の免除期間があるのに、7年前の免除部分から先に納めたりするような融通は利かない。もし、一番古い部分より新しい部分を先に納めてしまうと追納した保険料が還付されてしまう。

※注意

誤って納めた保険料の金額によっては一番古いほうの保険料のほうに自動的に充当を行う事もある。例えば上のリンクの平成24年度の追納保険料は15,140円ですが、平成24年度に免除部分があるのに先に平成26年度の15,270円のほうに誤って支払ったら15,270円のうち平成24年度の15,140円に充当して130円を還付という事。還付される場合は自分から請求しなければならず、請求から還付まで2~3ヶ月はかかる。

ちなみに、特例として平成30年9月までは国民年金保険料の「後納制度」として過去5年分の未納期間まで国民年金保険料を後納する事ができる。直近2年1ヶ月以内は通常の国民年金保険料納付書で好きな滞納部分を納めて、2年1ヶ月を超える分は年金事務所で後納の納付書で納める。ただし免除部分を追納する場合と同じく、一番古い分から納めないといけない

例えば、5年前に未納期間があるのにその前の3年前の部分の未納を先に後納する事はできない。間違って新しいほうを先に納めると、納めたはずの保険料が還付されてしまう。さっきの追納の場合と同じ。

国民年金保険料の後納(日本年金機構)

※追記

年の途中で退職すると自分の前年の所得が高くて免除が通らない場合があります。この場合は退職が確認できる書類(離職票や廃業届、失業手当貰う人に交付されてる雇用保険受給資格者証など)を市役所に持って国民年金保険料の退職特例免除を適用してもらう事が可能。退職特例免除は免除を受ける本人の前年所得を省いて、配偶者と世帯主の前年所得だけで免除するかどうかを決めるから免除が通りやすい。免除される場合は全額免除となる。

また、前年所得で国民健康保険料も計算される為、その年度の国民健康保険料も高額になってしまうが、雇用保険受給資格者証を持っている場合は市役所で国民健康保険料の減免が受けられる場合があります。最大、前年所得の給与所得を7割カットして国民健康保険料を計算して徴収するからかなり負担が軽くなる。

なお、退職日まで健康保険に継続して2ヶ月加入していた人が退職日の翌日から20日以内に協会けんぽ、または加入していた健康保険組合に申し込む事で、引き続き最大2年間健康保険に加入する事ができます(任意継続被保険者という)。

ただし、勤めている頃は健康保険料は事業主と労働者本人で半分ずつ支払っていたので、退職後の任意継続被保険者の間は2倍の保険料を支払わないといけない。

よって、任意継続被保険者になったほうが保険料が安いのか国民健康保険に加入したほうが安いのか、金額を協会けんぽや市役所に試算してもらってどちらにするか決めましょう。大体、任意継続被保険者のほうが安い事が多いかなあ…

協会けんぽ(任意継続被保険者)

image by: Shutterstock.com

年金アドバイザーhirokiこの著者の記事一覧

佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
このメルマガを読んでいれば年金制度の全体の流れが掴めると同時に、事例による年金計算や考え方、年金の歴史や背景なども盛り込みますので気軽に楽しみながら読んでいただけたらと思います。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座 』

【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

print
いま読まれてます

  • 知らないと大損。年金が払えないなら活用すべき「免除制度」とは?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け