ヒアリは本当に害なのか? 加熱する外来種排斥に生物学者が反論

 

しかし本当に駆除するつもりなら、こんな中途半端なやり方では全くダメだ。少しでもフラスの出ている樹は即切り倒して、焼却処分にしないと、網をかけたくらいでは成虫の脱出は防げず、樹勢が弱っている樹は次々に加害されてしまうだろう。しかしはっきり言って、これだけ広範囲に広がってしまってはもはや駆除することは無理だ。税金をかけても徒労だと思う。上海でも桃畑や梅畑が全滅したという話は聞かないし、多くの侵入当初は大発生した外来種と同じく、しばらくすれば落ち着くだろうと思う。それにねえ。サクラが多少枯れても人が死ぬわけでもないし、安倍の悪政の方がはるかに問題だろう。

島原半島にトゲムネミヤマカミキリという、幼虫がやはりサクラの生木を食害する外来種がいる。インドシナから中国南部、台湾に広く分布する種で、どういう経路かは分からないが島原半島に侵入して、結構個体数も多かったようだが、最近はめっきり減ったみたいだ。駆除したという話は聞かないので、放っておけば衰退するという好例だ。

多くのカミキリムシの幼虫は枯木を食べるが、生木を食べる奴も多少いて、食樹が有用植物だと害虫ということになる。このてのカミキリで、日本で一番の害虫は、在来種のゴマダラカミキリだ。ミカンやブドウをはじめ多くの樹種の生木を食害する。絶滅させることは不可能だが、かといってミカンやブドウが栽培不能になるほど被害を受けるといったものでもない。外来種や害虫を1頭残らず駆除するのだ、と意気込んでも、不可能を可能にできるわけではない。費用対効果を考えて、ダマシダマシ、適当なところで、折り合うしかないのだ。

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