古都の掟は彼らが決める。京都の影の実力者「白足袋族」は何者か

 

一般的な京都人の中に、京都全体を取り仕切っている白足袋族がいます。僧侶茶道家呉服関係者花街関係者など、社会的な影響力を持った裏の権力者たちのことです。裏と言ったらイメージが良くありませんが、影の実力者といったところでしょうか。京都の庶民は昔から「白足袋族には逆らうな」といった言い方をするそうです。

今もそうなのかも分かりませんが、白足袋族は表と裏に分けられるようです。公家武士学識のある僧侶で権力者に助言をしていた人などはいわば表の権力者です。室町や西陣の呉服商で経済を牛耳っている人、日本文化の代表者である茶道家華道家などの家元達や、花街のおかみさんや芸舞妓さん達はいわば影の白足袋族といった感じでしょう。

このように見ていくと、白足袋族とは昔は権力者そのものと利害関係で結びつく特定の人達です。花街はむしろ京都の白足袋族に場を提供し、相手にしてきた人達で、白足袋族を見る目利きです。

平安時代以降明治維新まで政治を司ってきたのは天皇や幕府です。その表舞台で助言をしてきた人の中に僧侶がいます。嵯峨天皇の時代の空海や徳川家康の時の金地院崇伝などは有名な例です。政治的な権力者を陰で支え、コントロールし、経済を握ってきたのは呉服などで財を成した豪商と言われる人達です。現在は、天皇家は東京に住まいを移してしまい、公家は没落し西陣や室町の呉服商もかつての勢いはありません

現在の京都を支えるのは観光業ですが、京都の観光の目玉となっているのは何と言っても寺社仏閣です。ということは現在の白足袋族の頂点にいるのは僧侶と言えなくもないでしょう。もちろん、日本全国に支部を持つ茶道や華道の家元やその周辺の人達などもかなりの力はあると思いますが。

花街のおかみさんや芸舞妓さんは普段からとても厳しい修行を積んできています。それゆえ自分の中で確固たる物差しがあります。これが目利きです。舞妓さんは未成年だったりしますが、自分の物差しでお座敷に来るお客さんを見ています。彼女たちは、少し話をするだけでどんなお客さんかすぐに見透かしてしまいます。金持ちで偉そうなことを言っていても、舞妓さんから「大した人とちゃいます」と言われてしまったら、京都では生きていけなくなってしまいます

京都ではこの目利きがないと、いくら地位や名誉があっても一目置かれません。おそらく庶民の人達もそのような自分の物差しをもった目利きがある人が少なからずいるのだと思います。そのような方達の厳しい目があるからこそ1,200年以上京都という街が洗練された都として存続してきたように思います。

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