昔はカタカナの方が使われてた。ひらがなと使用頻度が逆転した訳

 

日本は、中国文化圏の国です。いわゆる、漢字を使うアジアの国の一つです。漢字は、お隣の韓国や北朝鮮だけでなく、モンゴルもベトナムも、シンガポールもマレーシアも漢字を使います。モンゴルやベトナムは、北朝鮮もなのかもしれませんが、最近はもう漢字を使わなくなっているのかもしれません。韓国はまた漢字を使うように変わって来ました。

漢字の難点は覚えるのが大変であるということにつきます。日本では約5万字が使われ、中国ではその4倍の20万字が使われています。普通の人が使う漢字が約3000字です。皆さんは、漢字をいくつ知っていますかという質問をされた場合、何文字と答えられますか?少なくとも1000文字は知っていますと胸を張って言い切れる方も今は少ないのかもしれません。

日本が非常に独特なのは、表音文字にカタカナとひらがなという2つの文字を使うようになったことです。はっきり言って、必要ないことです。同じ音を表すのに2種類もの文字を使うのは大変なだけです。名前のフリガナも、昔はフリガナでしたが、最近はふりがなになりました。最近は、カタカナの築いた世界をひらがなが取って代わろうとしているのです。

歴史を振り返ると、 日本では、まず、漢字を意味でなく音で使うという独自の使い方をした万葉仮名が確立されます。万葉集は代表的なものですが、古事記も万葉仮名で記載されました。万葉集にしかり、古事記にしかり、当時の文化は全て中国からやってきたものの中で、文字を持たなかった日本が、なんとかして日本の文化をありのまま書き留めたいとする意気込みのようなものを強く感じるのです。

特に太安万侶(おおのやすまろ)は古事記の序文に次のように書いています。「全てを文字の意味によって漢語で書き表したとしたら、古語が持っている心を表すことができない。かと言って全ての発音をそのまま万葉仮名で書いたとしたら、いたずらに文章が長くなってしまう。」と記載されており、苦心の上に漢字と万葉仮名の混合によって文書を書き上げたことが書き残されています。

「古語の持っている心」本当に素敵な表現だと思います。中国から入ってくる言葉だけでなく、昔から日本で使われている言葉。その言葉の持つ日本独特の成り立ちや、使われ方を漢字で表現することはできないと言っているのです。本当にその通りだと思います。太安万侶が苦心して書き残した言葉は、大切に語りつながなくてはいけないものだと思うのです。

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