昔はカタカナの方が使われてた。ひらがなと使用頻度が逆転した訳

 

万葉仮名での表記でも同じであったと思いますが、一番大きな課題は、その当時使われていた日本語の音を整理することであったと思います。音韻体系というのが良いのでしょうか。今私たちは、あいうえおの五十音が頭に入っており、この五十の音を使って言葉を作り、文字で表します。しかし、当時の人々は、様々な音で言葉を話していたはずです。唇を噛んだり、鼻に抜けたり、喉の奥で発したりして多くの音を持っていたはずなのです。これを一体誰が、どのようにして整理したかは、全くわかっていないのです。

例えば、日本語の「あ」音として使われた万葉仮名の漢字は「阿」「安」「英」「足」の4つの文字が使われています。これは、「あ」にも様々な音があったことを意味しています。特に、甲類と乙類という2種類に分けられていた「い」「え」「お」の3つの母音には、非常に多くの漢字が当てはめられました。

万葉仮名を今の五十音に当てはめて整理し直すと、面白いことがわかります。例えば、「は」行に当たる音の漢字を調べると、全て「は」行の発音ではなく「ぱ」行の発音になります。つまり、古代万葉仮名を使っている時代には、日本には「は」行はなく、それらは全て「ぱ」行の音で発音されていたことがわかるのです。母は、「はは」ではなく「パパ」であったということがわかるのです。

言葉の発音は時代とともに大きく変わってしまったようです。今、私たちが当時の日本に降り立つことができても、その発音を聞いて意味を理解できることはなかったのではないかと思います。その意味では、漢語で表現されたからこそ、現代でも意味を理解することができるのだとも言えるのです。

私は、この万葉仮名に当てはまる漢字を日本語の音に当てはめて分類したのは、日本人ではなかったのではないかと思うのです。おそらく、まずは中国に漢字音の分類が存在していて、その分類のどれに当てはまるのかを、日本人の話す言葉を聞いた中国人が一時づつ漢字に当てはめて、日本語のための音韻表を該当漢字を使って当てはめて作ったものが万葉仮名になったのではないかと思うのです。

当時の中国は、まさしく世界の中心の大国でした。世界中から、人々が集い日本と同じように朝貢していたのではないかと思います。それらの言葉を理解するには、彼らが話す音を書き留めていくことが必要だったと思います。そのための音韻表のようなものが中国では作られていたのではないでしょうか。日本語に対しては、中国から渡来した人が日本で作業したのか、はたまた、日本の留学生を材料に中国で作成されたかわかりませんが、日本人ができる芸当ではないと思います。

万葉仮名とは中国人がくれた日本へのプレゼントであったように思います。しかし、日本人はそれを元に整理、洗練していったのではないでしょうか。それが五十音にまとめられたのは江戸時代になってからのようです。わ行の「ゐ(い)」と「ゑ(え)」のようにごく最近まで残った音も存在しました。

print
いま読まれてます

  • 昔はカタカナの方が使われてた。ひらがなと使用頻度が逆転した訳
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け