妊娠中に風邪薬はOK?授乳中の飲酒は?小児科医がお答えします

2015.09.14
by NozomiK
 

しかし、妊娠後期となると注意点が一つ増えます。それは、胎児の動脈管という血管が生きていくうえで大切なのですが、鎮痛剤などは胎児の動脈管を収縮させてしまうことがあり、胎児死亡につながる可能性があるため、妊娠後期になった場合には、安全と考えられているカロナールも当院ではできるだけ処方しないようにしています。しかし、それ以外の薬は安全に使えるものが多いので、風邪が治せなくなるわけでもなく、特にご心配いただく必要はありません

では、出産後に授乳を始めると飲めるお薬はどうなるのでしょうか? 答えとしては、実際には使用できる薬剤はむしろ増えていきます。
このときに考えるべきことは、お母様の薬の影響が母乳にでてしまうかどうかということですが、母乳中に出るからすべてだめではなくて、やはり母乳に出てくる薬の量とそれを赤ちゃんが飲んで吸収され影響が出るのかどうか? ということが大切になります。

その観点から薬剤を考えると、授乳中はほとんどすべての抗生剤が使用可能で、クロラムフェニコールという薬以外は使用できます。てんかんの薬も、フェノバールとリボトリールという薬は血中濃度をチェックする必要がありますが、それ以外は安全に使えるため心配いりません。

実際に使ってはいけない薬のほうが少ないので、そちらを覚えていただくようにしているのですが、駄目な薬は麻薬(コカイン)、免疫抑制剤、偏頭痛の薬であるエルゴタミン、陣痛促進剤くらいですので、ほとんど使用可能と考えてもらったほうがわかりやすいかもしれません。

アルコールを飲んでよいかというご質問もよく受けますが、実際には問題なくアルコールの脂溶性、蛋白結合率、分子量などから考えてお母様が泥酔して授乳できないくらいになっていなければ問題なく、機会飲酒食前酒のように飲むことはまったく問題ありません。しかし、アルコールも過度に飲みますとおっぱいの出方に影響を与えることがあるため、乳腺炎になったりすることもあり、子どもへの影響ばかりではなく、乳腺炎にならないよう気をつけることなども大切です。

image by:Shutterstock

 

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著者/宮田大揮(相模大野こどもクリニック院長)
現役小児科医/救急医が今まさに流行している病気やそれにまつわる話を余すことなくライブに発信。修羅場を乗り越えてきた筆者が読者の質問にどんどん答えていく、新たなクリニックのスタイル。
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