中国で爆発的に普及した「モバイル決済」、背景にニセ札社会

 

言うまでもなく、中国といえば昔から偽物大国として有名で、世界市場のニセモノの80%を占めているとされています。たとえば蒋介石が台湾に持ち逃げした紫禁城の財宝は、輸送途中で多くが偽物とすり替えられ、本物は海外に転売されたといわれています。そのため、台湾の故宮博物院の収蔵品にも多くの偽物が混じっているとされています。

そのような状況ですから、誰もお札を信用出来ないのです。だからほとんど偽札が流通しない日本について、中国では「世界で唯一、偽札がまったく流通していない国だ」と報じられています。中国では偽札鑑別機能付きの携帯やスマートフォンが人気ですが、日本人には思いもよらないものです。

日本は先進国で唯一じゃないか? 「偽札がまったく流通していない国」=中国

こうした背景から、お札を使用しないモバイル決済が中国では爆発的に進んだわけです。2016年の中国におけるモバイル決済額は約1,000兆円に達したとも言われています。

中国でよく使われているモバイル決済は、アリババ系の「アリペイ」と、テンセント(騰訊)系の「WeChatペイ」です。

日本をはじめ、世界でもチャイナ・マネーを取り込もうと、これらのモバイル決済を導入する国が増えています。

世界数十万社、中国人観光客向けモバイル決済サービスを導入

しかし、中国のモバイル決済には、さまざまな問題点があります。まず中国政府にとっては、こうした決済が中国人の資金移動の手段として使われるようになっている点です。

中国経済の減速と外貨不足懸念から、中国政府は海外への資金移動を制限していますが、モバイル決済は当局の金融監督を困難にすると指摘されています。そのため、マネーロンダリングの温床になると懸念されています。

むしろキャピタルフライトとマネーロンダリングのためにモバイル決済が大流行しているとも言えます。

そこで中国人民銀行はモバイル決済事業者と金融機関のあいだに「網聯」という組織を設立し、金融監督を強化する方策を打ち出しました。来年6月から、すべてのインターネット決済が「網聯」経由になるそうです。

中国、来年6月から全てのインターネット決済が「網聯」経由に

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