なぜ財務省は、あんなマイナンバー還付制度を考えついた?

 

それじゃあ財務省はなぜ「外食も含む」なんて一見過剰とも思えるサービスを口にするのかというと、もしこの制度のスタートに成功したら、日本中の飲食店のレジ税務署のコンピュータつながるからです。飲食した人は2%の消費税を還付して欲しいですから、自分の飲食履歴が適切に国に報告されることを望みますよね。そうすると、今まで一部の(多くの?)飲食店が行っていたような、「売り上げをごまかして脱税する」なんてことが出来なくなります。

多分これを突破口に、次なるなんらかの施策で、日本中の商店のレジが税務署のコンピュータと結ばれ、日本中の商取引の履歴が国に完全捕捉される方向に向かうでしょう。財務省は「日本型軽減税率の実施」を名目に、日本中のお金を動きを把握する第一歩を踏み出したいんです。そうでなければ、国民1人当たり5,000円程度の額の還付のために、日本中の飲食店を含む食品販売業者のレジに財務省の端末を設置するなんて経済合理性の無いことを誰も考えつきません。

単に低所得層に対して消費税引き上げの負担を緩和するだけなら、例えば年収300万円なら満額5,000円を還付し、段階的に還付額を減らして、例えば年収700万円以上は還付無しにするなんて方法の方がよっぽど簡単で合理的です。また日本で自給自足の人なんていないんですから、必ず一定額の食品を買うとみなして、国民全員に一律5,000円ずつ配るなんて方法もアリだと思います。

いずれにせよ、国民1人にわずか5,000円を還付するためだけに、国民全員に食料品店と飲食店でカードの提示を1年中求めるなんて、「頭おかしい」としか考えられない施策です。

image by: Shutterstock

 

辛坊治郎メールマガジン』第237号(9月18日発行)より一部抜粋

著者/辛坊治郎
「FACT FACT FACT」をキーワードに、テレビや新聞では様々な事情によりお伝えしきれなかった「真実」を皆様にお伝えします。その「真実」を元に、辛坊治郎独自の切り口で様々な物の見方を提示していきたいと考えています。
≪無料サンプルはこちら≫

print
いま読まれてます

  • なぜ財務省は、あんなマイナンバー還付制度を考えついた?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け