なぜホンダ創業者・本田宗一郎は、強みもなく頂点に行けたのか?

asai20171027
 

強みを持つ人は最初から「勝てる相手としか戦わない」と言います。では、強みが何もないという「弱者」はどうしたら良いのでしょうか。今回の無料メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』では著者の浅井良一さんが、ビジネス書ではあまり目にしない「弱者の戦略」について、カリスマ経営者の名言などをひきながら解説しています。

勝つための知恵

幕末の剣豪で江戸城無血開城の立役者である山岡鉄舟が、海道一の大親分と言われた清水の次郎長に「けんか出入りで、負けない秘訣」はと訊ねたところ、修羅場の極め人らしい神妙な答を返しています。

「まずは相手の強さをはかります。刀を抜いて相手と切っ先を合わせたときに、ちょっと押してみるんです。そのときすぐに押し返してくるのは弱い奴です。冷静さを失っているから、即座にぶった切ってしまいます。けれど、押してやると押されるままに引っ込んでいく奴がいる。こんな奴は強い。だから、なりふりかまわず逃げちまいます」と言うのです。

この話で面白いなぁと思ったのは「20世紀最高の経営者」と言われるジャック・ウェルチが、同様に「競争優位を持ち合わせていないのなら競争するな」と言っていることで、至って当然の真理です。

ウェルチはGEの創業事業であった「家電」でさえ、日本の家電メーカーの切っ先の鋭さを見てこれを売却しています。逆に、自社の資金調達力や組織力から考えて「No.1、No.2」になれると判断して「ファイナンス」事業には積極的に参入して行きました(但し、利益ベースでは半分近くを稼いでいた「ファイナンス」事業を、ジェフリー・イメルト前CEOは将来を考えて撤退させてはいますが)。

勝つ人」は「勝つため」の場所、情況についてクールな判断をします。「勝てないところ」「勝てない状況」では勝負をせず、勝たなければならないので「勝てるところ」「勝てる状況でのみ果敢に勝負をかけます。

企業の戦略は、自身の「強み」と「機会」に焦点を絞って経営資源を集中させて、顧客の望む「最大の効用」を実現させ続けることだと言えます。これが「競争戦略」の基本スタンスであり、勝つためにとらなければならない、当然な方策「選択と集中」です。

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