なぜ、ホームセンターが自らパンクしない自転車を開発するのか?

MBA20180328
 

街の自転車屋さんが減り、スーパーやホームセンターの自転車売り場でパンク修理をする人が増えています。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、そんなお客様の声を元に「パンクしない自転車」を開発・リリースしたDCMホールディングスの戦略・戦術を詳細に分析しています。

お客様視点

パンクしない自転車を展開している企業を分析します。

● ホームセンター国内大手のDCMホールディングスがリリースした「パンクしない自転車」にフォーカスをあてます。

戦略ショートストーリー

毎日自転車を使う方をターゲットに「ホームセンターで培った商品開発ノウハウ」に支えられた「パンクの心配がない」「定期的な空気入れが不要」等の強みで差別化しています。

店舗網を活かして認知度向上や「パンクしない」というシンプルな価値を訴求することで顧客から支持を得ています。

■ 分析のポイント

お客様視点

タイヤがパンクしてしまうと、近くに直してくれる店がなく、家から離れたホームセンターまで運ぶのが大変なので、パンクを防ぎたいという声がDCMホールディングスが展開しているホームセンターに届いていたようです。実際に街の自転車店は減少傾向にあるようですので、今後は、さらに顧客の近所に自転車店がないという状況が生まれてきそうです。そのような状況を受けて、DCMホールディングスは、街の自転車店の減少に対応する商品として「パンクしない自転車を開発・リリースしたわけです。

もともと、DCMホールディングスは、お客様視点から生まれたオリジナル商品として、多数のDCMブランドの製品をリリースしていますが、今回の自転車もその一つです。恐らく、DCMホールディングスには接客担当者が、しっかりと顧客の声を拾い、その顧客の声を適切な部署に届け、その声を受け取った部署が商品化を進めるというような仕組みが構築できているのでしょう。

上記のように書いてしまうとシンプルに見えますが、このような仕組みを作ることは容易ではないです。この仕組みの大前提として、顧客の声を拾い、お客様の視点をキャッチしなければ商品化にはつながらないわけですから、顧客の声を拾うということが非常に重要になります。

通常、自転車店では、顧客がパンクした自転車を持ってきてパンクを直してほしいとスタッフに伝え、その依頼にスタッフがに対応します。来店した背景や要望を伝えてくれる顧客は、恐らく少数派だと思われます。今回でいう、家の近くに自転車店が無くなった(少なくなった)やパンクしない自転車を作ってほしいといったことを自分から話す方は少ないでしょう。ですから、そういった声を拾うことは普段から意識できてないと難しいです。

こういったことからも、DCMホールディングスの考え方がスタッフまで浸透できており、お客様の声からオリジナル商品を生み出すという仕組みが機能していることが伺えます。こういった仕組みは、一朝一夕にできるものではありません。だからこそ、企業にとっては差別化の源であるコア・コンピタンスとなるわけです。

今後もDCMホールディングスからお客様視点でどのようなオリジナル商品がリリースされていくのか注目していきたいです。

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