始まりは親の愛。大型コインランドリー「マンマチャオ」急成長の訳

 

快進撃を支える充実のFC制度

マンマチャオが毎月多くの店舗を出店できるのには、理由がある。FCオーナーにコインランドリーに最適な物件を紹介しているのだ。一般のコインランドリーでは、どこか最適な場所を自分で探してくるか、自分の持っている物件で開業の運びとなるが、マンマチャオは空き物件をどんどん探してきて、FCオーナーに提案する。営業力が成長性に結び付いている

特に推奨しているのは、スーパーやコンビニに併設する、駐車場が共有できる立地。「イオンモール」のような商業施設の中に出店するケースもある。ユーザーにとっては洗濯の合間に買物ができるので、時間が効率的に使えるメリットがある。建物が移設可能なユニット型プレハブ店舗もあり、立地環境の変化に迅速に対応して、別の場所ですぐに営業が始められる。

マンマチャオでは毎月1回ずつ、東京、大阪、名古屋で、計3回のFC加盟希望者向けの事業説明会を行っていて、合わせて100名ほどの参加者がいるという。事業説明会に納得して投資をしたいと決断した人には、まず「プレチャオ会員」という予備会員になってもらう。

「プレチャオ会員」になるには契約金108万円が必要。契約期間は2年で、会員に登録されれば物件の紹介、投資シュミュレーション作成、金融機関の斡旋と提出書類の作成協力、内外装工事会社の斡旋、中古コインランドリー機器紹介と設置、オープニングセールの企画提案などのサービスが受けられる。

出店が決まれば契約金は初期投資に充当。決まらなければ、手数料10%と出張交通費等を実費控除した上で返金となる。事業説明会参加者のうち1割ほどが「プレチャオ会員」になっており、会員数は310名に上っている。

IMG_9204

FC開業後は、「チャオ オーナーシステム」というサポートシステムを有している。これは問い合わせやクレームに24時間対応するコールセンター、機器の遠隔操作、洗剤など消耗品の費用と補填、修理、漂白剤や乾燥機用ソフターシート提供などのメニューがパッケージとなっている。

オーナーシステムの利用料金は、2年目までがドラム式乾燥機1台5,000円、ガス乾燥機2,000円、洗濯乾燥機6,000円で、3年目からは各1,000円アップ。システム使用料は1店舗1万5,000円。たとえば、洗濯機3台、乾燥機7ドラムの場合の月利用料は、2年目まで4万4,000円、3年目以降5万4,000円となっている。

実際にコインランドリーを運営していると、年に1度くらいはお金を入れたけれども洗濯機、乾燥機が回らない、故障のトラブルが発生する。こうなると大変で、本来はオーナーが現地に出向いて返金、謝罪しなければならない。しかし、マンマチャオでは店舗の全ての洗濯機乾燥機をインターネットで繋ぎ、コールセンターにクレームが入れば、遠隔操作により機器を回してあげるサービスを行っている。さらに、返金を望む顧客には、両替機を操作して返金をも行う

こういったITを駆使したサポートにより、オーナーが常にコインランドリーに張り付いていなくてもトラブルを解決できる体制を整えている。

マンマチャオのFCオーナーとなるのは、会社の収入源のマルチ化を考えた新規事業、年収1,000万円以上あるサラリーマンが個人年金的に活用するケースなどがある。法人と個人の比率は6:4。コインランドリーには10年ローンを組むので、10年後にはリターンが大きくなる

投資額は2,000~3,500万円くらいで、小さい店だと月商は60万円ほど。電気代、水道代、洗剤代、人件費、サポート費用など、ランニングコストを引くと半分の30万円ほどが手元に残るが、ローンが終わっていると、まるごと30万円が毎月収入となる計算が立つ。個人年金的活用とは、このような意味合いである。

また、昨年の4月から始まった、中小企業経営強化税制商業サービス業活性化税制といった国の施策で、コインランドリーの洗濯機と乾燥機が一括で即時償却できる有利な商材になった。そのため、節税目的でのコインランドリー投資への参入が増えている。ただし、即時償却を受けるには煩雑な書類の作成が必要で、マンマチャオでは書類作成の代行も行っていることから人気を集めている。

マンマチャオのウィークポイントは?

以上、マンマチャオは優遇税制の恩恵をも受けた、好調なコインランドリー業界の追い風に乗り、アトピーや環境にやさしい「エコランドリー」をコンセプトとした差別化戦略で、成長しており将来は明るい。無理をする必要もないが、業界トップの座も狙える位置にある。

心配があるとすれば、FCオーナーが立地開発も経営もほとんど何もしない、副業が多い投資型のFCビジネスなので、これから店舗数が増えて本部の目が行き届かなくなると、宣伝のための地域のチラシ配り、清掃などの手間を怠る人が出てきてしまうことだ。統率力あるスーパーバイザーの育成が急務である。

また、過剰に「プレチャオ」会員を集め過ぎてなかなか開業できなかったり、開業したものの同業他社との競合が厳しくなったりすると、オーナーから不満が募るケースもあり得るので、立地開発、立地替えでどれだけのパフォーマンスが行えるかが、ビッグビジネスへの鍵になってくるのではないだろうか。

image by: エコランドリーmammaciao-マンマチャオ Facebook

長浜淳之介

プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

この著者の記事一覧はこちら

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。

print
いま読まれてます

  • 始まりは親の愛。大型コインランドリー「マンマチャオ」急成長の訳
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け