先日掲載の「なぜ、友達作りが上手な子どもの親は子と一緒に公園へ行くのか」が好評だった無料メルマガ『子どもが育つ“父親術”』。今回は、興味はあるのにほかの子と一緒に遊ばない、他の子たちの輪に入っていけない、なかなか他の子に自分から声を掛けられない子供たちへの、父親の対応について解説しています。
社交性の育み方
大きなタイトルを掲げていますが、内容はシンプルです。子どもが、
- なかなか他の子に自分から声を掛けられない
- 興味はあるのにほかの子と一緒に遊ばない、他の子たちの輪に入っていけない
そんな時のサポートの仕方について、お伝えします。
まず最初に強調したいのは、そういった時の子どもは、ほとんどの場合「心の準備期間」だということ(この「心の準備期間」については、また改めて詳しく書きますね)。この時は、親からの働きかけは必要ありません。穏やかな気持ちで、そばにいてあげるだけで充分です。
ただし、まれに「心の準備はできているのだけど、一歩目を踏み出すきっかけがつかめない/どのように踏み出せば良いかわからない」という状態の時もあります。子どもの様子を観察している時に微妙なニュアンスや雰囲気を感じ取り、この状態に気づくことがあります。
そういう時であれば、親のサポートは子どもにとって渡りに船。良い手助けになります。ただし、子どもに“一歩目の踏み出し方”を教えるようなアプローチは、あまり効果的ではありません。
- 「一緒に遊んでごらん」
- 「『×××』って言ってみたら?」
「どうすれば良いか/何と声をかければ良いかわからない」という問題もありますが、最大のハードルは、漠然とした根拠なき不安感。理屈では解消しにくいものです。
ここでは、あくまでもお手本を見せるのが最も効果的なサポート方法。
- 「○○ちゃん、それなあに?」と声を掛けてみたり
- 子どもの輪に入って一緒に遊んでしまったり
こうして実践してみせることで、「別に大したことじゃないな」「やっぱり、そう言えばいいんだ」と実感できる材料を提供し、不安感から開放してあげましょう。
くどいようですが、親は見せるだけ。それもできれば“見せる”というふうにやるより、“親個人の振る舞いを、子どもが勝手に観察している”というふうにできるのが理想です。そしてその後、子どもが反応するか/しないか、いつ/どのように反応するかはすべて子ども次第ということもお忘れなく。
そもそも「心の準備はできているが、きっかけだけつかめないようだ」と読み取った親の解釈が間違っている可能性だって充分にありますし。決してプレッシャーを与えるようなことだけはないようにしましょうね。
わが家では、息子が小学校に入った時にこのサポートを提供しました。当時は引っ越してきてまだ2年、しかも小規模な保育所に通っていたこともあり、100名ほどの新入生の中に知り合いが1人もいない状況。何らかのサポートは必要だろうなと予想していました。
入学からしばらく経った頃、休み時間は友だちと一緒に遊んでいると話し始めていたものの、放課後は所在なさそうにしていたのを見て、手助けのタイミングと考えました。
具体的に取った行動は、
- 息子と公園で遊ぶことにする「三角公園でも行くか。サッカーボール持って行こう」
- 私がクラスメートを誘う「1年1組のくろさわです。今から息子と三角公園に行くのですが、よかったらケン君も来てもらえたらと思いまして」
- 息子&クラスメートと一緒に楽しく遊ぶ
です。1週間もすると、息子は自分から友達を誘うようになりました。
「1年1組のくろさわです。ケンくん居ますか? …ケン、今日遊べる?」
最初の名乗り方は、私の話し方と全く一緒。ちゃんと聞いて習得していたんですね。息子は今では、旅先の公園で出会った子にまで声をかけて一緒に遊ぶようになりました。
「社交性」などと大層な表題を掲げてしまいましたが、今日お伝えするのはこれだけです。でも、こういった小さな経験の積み重ねが「社交性」といった大きな性質を作る栄養になると、私は信じているのですけどね。
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