なぜマクドナルドは、値段が高いバーガーが増えても客数が減らないのか?

 

日本マクドナルドホールディングスの業績は好調です。17年12月期の連結決算は、売上高が前年比11.9%増の2,536億円、本業の儲けを示す営業利益は2.7倍の189億円でした。売上高は期限切れ鶏肉使用問題直前の13年12月期(2,604億円)に迫る水準にまで回復しています。客足が回復したことに加え、客単価が向上していることも大きく寄与しているのです。

mcdonald-sales

マクドナルドは今も客単価を高めることに余念がありません

3月19日からは、午後5時から100円を追加で支払えば、ひき肉などを平らな形にした「パティ」の量が2倍になる「夜マック」を始めました。「チーズバーガー」など定番バーガーが対象で、単品でもセットでもパティが倍になります。しっかりと食事をとりたいというニーズがあるディナーの時間帯で「夜マック」を実施することで客単価を高める狙いがあります。

4月14日からは、定番商品の「ビッグマック」(390円)が生誕50周年を迎えることを記念して「ビッグマック50周年キャンペーン」を開始し、新たな関連商品として「ビッグマック ベーコン」(450円)と「ビッグマック BLT」(490円)を期間限定で販売しています。いずれも高価格バーガーといえるでしょう。

さらに、これらビッグマックシリーズのバリューセットに100円を追加するとフライドポテトがMサイズの1.7倍、ドリンクがMサイズの2倍になる「グランドセット」を用意しました。グランドセットにした場合、支払い価格は790~890円にもなります。これも、客単価を高める狙いがあります。

このように、マクドナルドは客単価の向上に力を入れています。それにしても、なぜマクドナルドは高価格バーガーを販売したり、客単価を高める施策を講じているのでしょうか。

16年から高価格バーガーの販売を始めたのは、期限切れ鶏肉使用問題で悪化したイメージを回復させる狙いがあったと考えられます。当初は低価格メニューで集客を図ろうとしましたが、それでは上手くいきませんでした。おそらく、消費者は「マクドナルドのハンバーガーが安いのは品質管理がいい加減だから」と考えてマクドナルドを避けた側面が少なからずあったのではないでしょうか。

そこでマクドナルドは高品質バーガーを投入することでわかりやすい形で「マクドナルドは変わった」とアピールし、そして「安かろう悪かろうというイメージを払拭する戦略に舵をきったのでしょう。ただ、高品質バーガーを開発するには費用がかかるため、販売価格がどうしても高くならざるを得ません。そのため、結果として高価格バーガーが次々と誕生することになったと考えられます。

高価格バーガーの投入は時代の流れに合致した側面もあります。アベノミクスで景気が回復しつつあり、多少ではあるものの、消費者の財布のひもが緩みだした時期でした。日本フードサービス協会によると、外食売上高は15~17年まで3年連続で前年を上回ったといいます。外食産業は活気づき、美味しければ多少高くても支払う消費者が増えていたといえるでしょう。そうした中でのマクドナルドの高価格バーガーの投入だったので、大きな抵抗感がなく受け入れられたと考えられます。

print
いま読まれてます

  • なぜマクドナルドは、値段が高いバーガーが増えても客数が減らないのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け