「崇高な精神」の裏側
ここまで書いても、仮想通貨信奉者の方には、こういうことを言われる方もいると思います。
「仮想通貨は、国家機関がコントロールしない、本当の市民のための通貨なのだ」
「だからこそ価値があるのだ」
と。
仮想通貨信奉者の方が、そういうふうに思われているのは、仮想通貨が「市民のための自由な通貨」という宣伝をしてきたからだと思われます。つまり、仮想通貨の創設者側の宣伝文句を鵜呑みにしているわけです。
「国家機関がコントロールしない、市民のための自由な通貨」
というと、非常に耳障りがいい、なにか世直し革命的な意味に聞こえますよね? でも、冷静に考えてください。
今の仮想通貨が、本当に市民のための自由な通貨かどうか。
実際は、一獲千金を狙った者が群がり乱高下を繰り広げる、通貨とは到底言えないような代物ですよね?
国ではなく、民間人が行えばすべてうまくいくというのは非常に青臭い考えだと筆者は思います。
たとえば、警察や軍隊を、民間の自由に任せたらどういうことになると思いますか?
通貨というのは、警察や軍隊と同じように、国家の信用と強制力があって初めて、正常に作動するものなのです。民間人の自由裁量に任せていれば混乱を招くということは、歴史が何度も何度も証明しているのです。
「国家機関がコントロールしない、市民のための自由な通貨」
などというのは「国を批判すれば偉い」というような青臭い価値観を持っている人の琴線に触れるフレーズだったわけです。そのフレーズにまんまと引っかかった人が、仮想通貨に手を出してしまったわけです。
実際、仮想通貨に手を出している人は「国家機関がコントロールしない、市民のための自由な通貨を発展させよう」という崇高な精神を持っていたわけではなく「これで一儲けしよう」というのが本音でしょう?
儲けようと思う事が悪いとは言いませんが、儲けるためには、それなりに勉強をしなければならないし、うまい話をそのまま鵜呑みにしていては痛い目に合うということなのです。
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※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2018年6月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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