日本の「児童虐待」刑罰は軽すぎる。同じことを米でしたらどうなるか

 

(2)アメリカの児童虐待への刑罰の例

英語で「児童虐待」は、“child abuse”や“child neglect”と言い、「致死」は“resulting in death”などと表現する。つまり、児童虐待で子どもを
殺してしまった場合は、“child abuse resulting in death”などとなる。

また、「有罪判決」は“conviction”。“convict”は、その動詞形で「有罪判決を下す」という意味だが、「有罪判決を下された被告」という意味の名詞形でもある。

とにかく、そんな感じの児童虐待裁判関連用語からざっと検索し、この1年ほどの間に結審した判例を探してみたところ、次のような興味深い見出しのニュースが出てきた。

「両親は終身刑に加えて85年の懲役…」(Parents get life plus 85 years in child’s death)

これは、2017年11月、ウェスト・バージニア州ハンティントン市の裁判所で下された判決。肋骨が折れ、内臓にまで損傷が見られるなど残酷過ぎるため、虐待の詳細についての描写は控えるが、アロン・マイルス(33歳)、マリア・ジョーンズ(24歳)夫妻は、息子のジャイデン・ジョーンズくん(当時3歳)を日常的な暴行と虐待により殺害

30代の父親と20代の母親が3歳の幼い子どもを暴行などの虐待により死亡させたということで、船戸結愛(ゆあ)ちゃんの事件に近いケースだ。ただし、日本とは異なり、アメリカでは、以下の罪状に対する刑罰が加算された。

  • 第二級殺人罪(second-degree murder)
  • 親による子どもの死亡(death of a child by parent)
  • 重大な怪我につながる育児放棄(child neglect creating a substantial risk of injury)、
  • 身体に傷害を与える児童虐待(child abuse causing bodily injury)
  • これらの犯罪の隠ぺい(conspiracy)

その結果、終身刑では収まらない長い懲役刑になった。もう少し細かく補足すると、この両親に対し、複数の罪状が積み上げられ、それぞれ終身刑に加えて85年と105年

いかにも「多様性の国」、アメリカらしい気がする。

世界中から多種多様の文化や慣習や価値観を持つ様々な人種や民族が集まるアメリカには、当然、子育てや子どもの人権についても様々な考え方が存在する。多様な考え方があるというのは、良いことだが、子育てが上手くいっていない親たちの中には、異なる文化や慣習や価値観などを理由に挙げ、虐待を正当化しようとする者も出てくるかもしれない。あるいは、生活環境や性格など何かしらの言い訳やウソにより、虐待を正当化しようとする親もでてくるだろう。

日本人の感覚では信じられないことだが、この広い世界には、平気でウソをついたり、約束を守らなかったり、騙された方が悪いといった考え方が主流になっている国や民族も存在し、そんな人々もアメリカに移住してくる。

そして児童虐待の恐ろしい問題点は、犯罪行為をし続けている親が、いくらでも言い訳やウソをついてごまかせるということ。そんな親のウソや甘えに児童相談所が振り回されている間も、子どもへの虐待は続くだろう。

それで、いったい誰が子どもたちを虐待から守るのか?

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