日経が異例の「経団連」批判。「失われた20年」を抜け出せぬ日本

 

今週のざっくばらん2: テクノロジーと監視社会

Singularity Societyを立ち上げることを決めたためもありますが、テクノロジーの進歩が社会に与えるマイナス面を考えることが多くなっています。

単にマイナス面だけ取り出して批判することは簡単ですが、実際には「マイナス面しかない技術」が導入されることはなく、何らかのプラスがあるわけで、そのバランスをどう考えるかが課題です。

典型的な例が、政府による防犯活動のためのテクノロジーの利用です。

去年、Wall Street Journal に「China’s Tech Giants Have a Second Job: Helping Beijing Spy on Its People」という記事が掲載されました。AlibabaやTencentが市民の違法な活動を監視する役割を中国政府のためにしている、という話です。

「中国の共産党が独裁体制を守るために、市民の反政府的な活動を監視している」といううがった見方も出来ますが、単に「中国政府が、犯罪者から一般市民を守るために行なっている」とも解釈出来るので、微妙なところです。

米国でも、9/11のテロ後にブッシュ政権が通した法律により、政府による電話の盗聴が可能になっているし、インターネットに流れる情報へのアクセスに関しても、政府と事業者の間で常に綱引きが行われています。私の知り合いのインターネットセキュリティの専門家は、Googleの社員ですが、アメリカ国家安全保障局に出向して、テロリストによるインターネット上の通信の傍受の仕事をしているそうです。

この分野で、最近になって注目されているのは、監視カメラの進歩です。今や、高性能な監視カメラが1万円以下で小売される時代になりました。そんなカメラが1,000円以下になるのは時間の問題です。

さらに、人工知能を活用した顔認識技術も急速に進化しているので、街中に監視カメラを設置し、そこに指名手配の犯人が映ったらアラートを送るなどは、技術的には十分に可能です。

Amazon は、ウェブベースの顔認識技術を Rekognition とういブランド名でAWS(Amazon Web Service)の一貫として提供していますが、それを米国の警察が使い出したことが大きな問題になっています(参照:Amazon Workers Demand Jeff Bezos Cancel Face Recognition Contracts With Law Enforcement)。

東京都は、2002年に歌舞伎町に監視カメラを設置しましたが、今やそれは、渋谷、六本木、池袋などに広がっています(参照:街頭防犯カメラシステム)。今はまだ、人がカメラの映像を見なければいけないため、台数にも限度がありますが、これが自動化されればもっと広範囲に監視の目を広げることが可能です。

こんな警察の監視活動は、「犯罪防止」「指名手配犯の追跡」という面では大きなメリットがありますが、実際のところは「市民の監視」であり、技術的には「市民の一人一人がいつ、どこで、何をしていたかをリアルタイムで把握する」ことが可能になる日も遠くありません。

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