教師残酷物語。いつから先生という聖職はブラック職になったのか

 

校内暴力が社会問題化した1980年代も「あの頃は、親たちは先生の味方だったんです。でも、今は非難されることはあっても感謝されることはない」と、数年前にインタビューした先生がぼやいていました。

先生を取り巻く環境は、この20年で180度変わってしまったのです。

そんな中での過労死。なんとも言葉がありません。

おまけにこれだけ長時間労働が問題になっているのに、タイムレコーダーで勤務時間を管理している学校は小学校で10%中学校で13%しかない(2016年時点)。

残念なことに、未来の大人を育てる場所で、リアル大人たちの命が軽んじられているのが現状なのです。

国も地方もそして、学校も、そして「私」たちも、先生の「生」にもっと向きあう必要があるのではないでしょうか。

そのためにはまずは、

  • タイムレコーダーを義務化し、つけていない学校に教育委員会は罰則を科す
  • 給特法は改定し、時代に沿ったものにする

そして、部活動については学校と切り離す議論もすべきだと、個人的には考えています。

地域によっては部活を教えるコーチを雇っている学校もありますが、

「結局、部活が学校の活動である以上、先生が解放されることない。部活動専属のコーチがいても『なにか起きたとき』そこに先生がいないとダメだと。ええ、そうです。親たちに非難されてしまうんですよ」

こう先生方から聞かされました(ある県の教師たちとの会合にて)。

そういえば今年3月、スポーツ庁が「学校の部活動については休養日を週2日以上平日の活動時間を2時間程度とする指針」をまとめ、全国の自治体や中高に通知したが、このような通知やガイドラインなどには強制力はありません

結局、あれこれ問題なるけど、誰が「責任」を追うかが明確でない。

結果として、最も弱い立場の「現場の先生」にしわ寄せがいく。

冒頭の過労死した先生は部活動にやる気があり、子供たち思いだったそうです。その先生が「休みたい」とこぼした。この事実をもっともっと真剣に受けめて欲しいと思います。

image by: shutterstock

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