心を揺さぶられたくて、あの丁寧に描かれた油絵を観に行ってみた

2018.07.23
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by gyouza(まぐまぐ編集部)
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先日公開した『油絵で丁寧に描かれた「目にしたままの姿」に心が揺さぶられる』という記事が大反響を呼び、21日(土)朝の情報番組「サタデープラス(サタプラ)」(TBS系列)にも生出演して話題となった、画家の三重野 慶(みえの・けい)さん(33歳)。そんな三重野さんも参加するグループ展「裸ノ眼」が、7月13日から28日まで東京・茅場町のギャラリー須知で行われています。

以前の記事を書いてから、ずっと三重野慶さんの作品の実物を鑑賞したいと思っていたMAG2 NEWS編集部は、グループ展開催中の「ギャラリー須知」に直接足を運び、作者の三重野さんご本人にお会いしてきました。

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7月17日、東京は35度超のうだるような暑さ。そんな気候の中、東京メトロ日比谷線・東西線「茅場町駅」で下車したMAG2 NEWSは、徒歩数分のところにある昭和2(1927)年竣工のモダンな洋館「第2井上ビル」に向かいます。

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この素敵でクラシカルなビルヂングの中に、今回のグループ展会場「ギャラリー須知」はあります。告知の看板は、入り口扉の隅に小さなメニューのようなものが置かれているだけでした。このミニマルさからも、ギャラリーのこだわりが感じられます。

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2階のギャラリーに入ると、2室目の部屋に三重野さんの最新作が3点展示されていました。

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以前、三重野さんのツイッターで公開されていた、笑顔が印象的な女性の作品も、今回はじめて展示されています。

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個人的に一番好きで、透明感と同時に空気感さえ感じられる、横向きの女性の作品も展示。今回、実物を見て改めてこの作品が好きになりました。

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また、奥の作品は三重野さんのツイッター(@mienokei))で製作過程が公開されています。

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どんな方が描かれているのか興味を持ったMAG2 NEWSは、作者の三重野さんに直接お会いして、油絵の世界に入ったきっかけや作品の制作秘話など、いろいろなお話をうかがいました。


「実は抽象絵画を観るのが好きなんです」三重野慶さんインタビュー

──先日公開させていただいた記事は、MAG2 NEWSでは珍しく美術を扱ったものにも関わらず大変大きな反響がありました、ありがとうございました。まずは三重野さんが油絵を描くようになったきっかけから教えてください。

三重野:高校生のときから独学でイラストを描いていたんですが、「独学の限界」を感じていたんです。ある人から「美術系の大学に進学したら?」と勧められたこともあって、5年制の高等専門学校(高専)に通っていたんですが、3年次の単位で高卒認定されるので、広島市立大学芸術学部の油絵専攻に進学しました。

↑三重野さんが高校3年のときに描いた油絵と、最近描いた作品を比較したツイート。技術が格段に上がっていることが分かる

──では、本格的に油絵を描き始めたのは大学に入学されてからなんですね。現在は、出身地の広島県呉市で作品を描かれているそうですが、描かれている女性にモデルはいらっしゃるのでしょうか?

三重野:はい、ツイッター上やインスタグラム上で見かけた女性に自ら声をかけて、モデル写真を自分自身で撮影させてもらっています。地元(広島)ではモデルになってくれる人が少ないので、東京までモデルの撮影に出かけることも多いですね。

──ご自身で撮影もなさっているんですね。三重野さんの作品は、ご自身の眼や脳内というフィルターを通して見えた「一番美しい」姿を、油絵という技法によって定着させているところに、とても感銘を受けました。特に「光」の表現がとても美しいと感じます。

三重野:ありがとうございます、自分自身でも撮影現場で目にした光を頭の中で再現して、それを忠実に油絵で描いているつもりです。ただ、背景まで手が回らず、人物を極めるのが精一杯ですね。

──でも、三重野さんの代表作とも言える「言葉にする前のそのまま」は、背景もかなり描き込まれていますよね。人物の描写に目が行きがちですが、私は川の中に沈んでいるたくさんの石が水面の流れの下に透けて見えているところまで描ききられていたことにとても感動しました。画像を見ているだけで、川のせせらぎや水の冷たささえ感じられてきます。

三重野:そうですね、あの作品は1枚描くのに1年半かかっていますから、背景の部分も徹底的に描ききっていると自負しています。

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「言葉にする前のそのまま」

──あの「言葉にする前のそのまま」は、どこに行けば観ることができるのでしょうか?

三重野:あの作品は、千葉市緑区にある日本初の写実絵画専門美術館「ホキ美術館」の所蔵になっていますので、同美術館の年2回ある展示替えの際に、あの作品が選ばれたら観ることができますよ。いつ展示されるかは、美術館か私のツイッターなどの告知をチェックしていただければと思います。

──写実的な作品を多く手がけていらっしゃいますが、ご自身ではどのような作品を観賞するのがお好きでしょうか?

三重野:実は「抽象絵画」が割と好きなんですよ、自分の作風とは真逆なんですけど(笑)。彫刻やインスタレーションよりも、絵画の方が好きですね。あと、印象派の作品の中だと「睡蓮」で有名なモネも好きな作家の一人です。最近は、昔の画家ですが、グウェン・ジョン(英国の女流画家、1876-1939)という画家の作品が気になりました。

──広島の呉市にお住まいとお聞きしましたが、先日の西日本を中心とした豪雨をご経験されたかと思います。当時の被害状況や周辺の様子はどうだったのでしょうか?

三重野:あのとき自宅にいたのですが、あれよあれよという間に大雨が降って、あとから街に出てみると大変な状況になっていました。当時は災害を知らせるスマホのアラームがずっと鳴りっぱなしで恐怖を感じたと記憶しています。私の自宅の方はそこまで酷い状況ではありませんでしたが、停電になったり断水したりという直接的な影響がありました。でも、テレビなどでは報道されなかった、瀬戸内海の小さな離島で被害が大きかったところが数多くあったことは、ここでお伝えしたいと思います。報道のカメラが行かない(行けない)ところこそ被害が大きい、ということを今回の豪雨で実感しました。

──広島を始め、今回被害に遭われた数多くの地域の皆様に対して1日も早い復旧をお祈りしています。本日は、お忙しいところありがとうございました。

三重野:いいえ、こちらこそありがとうございました。


「純朴な好青年」という印象の三重野慶さん、最後に作品と並んでお写真を、とお願いしたのですが、恥ずかしいからとお顔を撮影することは叶いませんでした。そんなシャイながら、でも真っ直ぐと作品に向き合う三重野さんは、2021年から2022年頃に予定しているという同ギャラリーでの個展に向けて準備を進めているそうです。ぜひ、三重野さんの眼を通して見えた「見たままの世界」を直接ご自身の眼で確かめに行かれてはいかがでしょうか。東京・茅場町のグループ展は7/28(土)まで。(MAG2 NEWS編集部)

三重野 慶氏 展覧会情報

2018年7月28日まで、東京・茅場町「ギャラリー須知」(グループ展「裸ノ眼」)にて開催
火ー土曜日 11:00ー19:00 日・月休

※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

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