小学生の命が犠牲に。「学校はエアコン不要」の根性論が子供を殺す

 

2.兵庫県立龍野高校テニス部熱中症事件との共通点

(1)熱中症への考えの甘さ

総務省消防庁の速報を見る限り、平成30年7月9日から15日までの間に熱中症で救急搬送された人数は、「9,956人」であった。

統計によれば、平成29年度の同時期は「7,414人」であったことから、今年の同時期の暑さは酷いということがわかるし、この数値の中には運動中ではない大人も含まれていることから、誰でも熱中症により救急搬送されるほどの深刻な状態に至るということがわかる。

学校の中には、水分補給のための水筒を持参させないという方針のものもあり、小学校のケースでは、まるで水分補給しているから配慮していたとも取られない発言が目立つ。

高校の場合は、これよりも酷い。水分補給をさせずスポ根よろしくの活動をさせた上での事故だ。もはや、事故とは言い難い。

(2)救護

今回の小学1年生の場合、救護という救護行動は取られているようで取られていない

まず、気温である。

扇風機などで部屋を冷やそうとしても、そもそもの気温が高温注意報が出るほどである。どんなに部屋を冷まそうとしても、扇風機では熱風しかこない

その中で、横にして休ませたとしても、熱中症の対処としては、その段階で誤っている。報道では、あたかもちゃんと救護したように書かれてはいるが、少なからず保冷剤や氷、水分補給・塩分補給を行い、教室に戻ってからではなく、早々に対処をすべきであった。

龍野高校テニス部熱中症事件で救護があったかだが、ほぼなかったに近いというのが事実だろう。というのも、両方とも心肺停止の状態で救急搬送されているからである。

3.全く活かされない過去の事故

そもそも、小学1年生が亡くなった事件は、過去の多くの犠牲の教訓を活かしていない

なぜなら、その他の児童も熱中症の症状を起こしており、カリキュラムや行事を先行させた強行であったと言わざるを得ないし、この小学校の概要を見る限り、小学1年生でおよそ3から5クラスあったはずなのだ。そうなれば、当然引率の教員はこの担任の先生だけではない。

相応の教員数で引率しなければ、交通量の多い国道につい数ヶ月前まで幼稚園や保育園児であった子供たちを連れ立って歩くことはしないはずなのだ。

私が印象的であったとした龍野テニス部の事件では実はその前年に同じ高校で一人亡くなっているという事実がある。教訓とはならず、不幸な事故だとやり過ごした結果なのだ。

私がこの件の取材に入っている報道関係者に情報を聞く限り、亡くなった子は、学校を出発する時にすでに行くのを嫌がっており、行きの段階で列から遅れをとっていた。公園にはほとんど日陰になるようなところがない状態で、帰り道では当初から他の児童らと同じように歩くことが難しい状態であったとのことだ。

担任の先生は手を引いて一緒に歩いたということだが、その段階で異常をキャッチしていてもおかしくはない状態なのだ。

さらに教室で倒れた段階では相当な衰弱が認められ、病院に搬送された段階ではすでに心肺停止であったという。

ただ、遺族は子供が好きであった先生を責めないでほしいと言っているとの情報もあり、この事件は、これ以上の事件究明が進まないかもしれない。

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