バドガールの露出が増えそうな理由
ただ、一方で「バドワイザー」の名は日本で広く知れ渡っています。これは、バドワイザー以外のブランドの販路開拓においても有利に働く武器になるといえるでしょう。「バドワイザーの会社」と認知されれば営業をかけやすいためです。
そこで、バドワイザーの認知度をさらに上げるために、バドガールを有効活用することが十分考えられます。バドガールはやや廃れた感がありますが、懐かしさを消費者に感じさせる「ノスタルジアマーケティング」で訴求することも十分可能です。コンテンツとして有効活用できないことはないでしょう。
いずれにしても、アンハイザー・ブッシュ・インベブは日本市場を攻略する上でABIの名を高めることが不可欠といえます。15年に日本法人を設立し、着々と地盤固めを進めてはいますが、本格的なマーケティングの展開はこれからとなりそうです。
そうした中で、ABIによる日本でのM&A(企業の合併・買収)の行方に注目が集まっています。ABIはこれまで積極的なM&Aを行うことで成長し、世界一のビールメーカーの地位に上り詰めたという経緯があります。
たとえば、16年には同業2位の英SABミラーの買収手続きを完了させています。買収には約790億ポンド(約10.1兆円)の巨費を投じ、高い資金調達力を見せつけました。食品では最大級のM&Aとなっています。
こうした実績があるため、日本でもM&Aを仕掛けてくる可能性が十分あります。ABIによるアサヒの買収は欧州で独占禁止法に抵触する恐れがあるため難しいものの、キリンはその心配がなく、また、キリンホールディングスの時価総額が約2.7兆円とABIが買収できないとは言いきれない規模のため、ABIがキリンを買収して日本市場を攻略する可能性を捨てきれません。
キリンはバドワイザーをABIに手放すことを余儀なくされ、今後はABIのバドワイザーとも戦わなくてはならなくなりました。また、ABIによる買収の脅威も高まっています。キリンはABIの一挙手一投足に気を揉む日々が当面続くことになりそうです。
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