キリンのバドワイザー生産終了が、バドガールの露出を増やす理由

 

日本ビール市場に存在するチャンス

厳しい状況が続く日本のビール市場ですが、一方でチャンスも存在します。

ビールの消費量が減っているとはいえ、日本が有数のビール消費国であることには変わりありません。キリンによると、16年の日本のビール消費量の国別順位は7位となっており、世界でも有数のビール消費国であることがわかります。また、金額ベースの消費規模だと世界で3位になるともいわれています。そのため、ABIには日本市場が魅力的に映っているようです。

酒税の一本化もチャンスといえるでしょう。ビール系飲料の酒税は現在、350ミリリットル入り缶でビールが77円、発泡酒が46.99円、第3のビールが28円となっていますが、26年までに段階的に54.25円に一本化されます。ビールの酒税は20円強下がるため、ビールであるバドワイザーの価格競争力は増すことになります。

高価格帯のプレミアムビールの市場が拡大したことも追い風です。サントリービールによると、03年に3.5%にとどまっていた国内プレミアムビールの市場シェアが、近年は15%程度にまで拡大しているといいます。さらなる拡大も見込め、プレミアムビールの存在感が高まっているのです。

そうしたなか、アンハイザー・ブッシュ・インベブはプレミアムビールの分野でも、「コロナ」「ヒューガルデン」「グースアイランド」といった強力なラインアップがあるため、戦略次第では販売を大きく伸ばすことが可能といえるでしょう。

ABIはこうしたことを総合的に勘案し、日本で自社販売への切り替えを進めているとみられます。切り替えはバドワイザーだけにとまらず、今年1月には、アサヒビールに委託していた「ヒューガルデン」「ステラ・アルトワ」「レフ」のブランドを自社販売に切り替えています。

ABIはこのように着々と日本市場攻略のための準備を進めています。しかし、世界最大手のビールメーカーではあるものの、日本ではその名はあまり知られていません。これまではキリンやアサヒなどのビッグネームを活用して製品を販売し、販路を開拓してきましたが、自社販売に切り替えた製品に関してはそれができなくなります。このことが今後大きなネックとなりそうです。

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