日本にも飛び火か。「米中貿易戦争」で突きつけられる無茶な要求

 

もはや「報復関税の応酬」の様相を呈している米中貿易戦争。その好ましからざる影響は、当事国のみならず世界に飛び火しつつあります。メルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者の津田慶治さんが、米中それぞれの思惑や日本が直面する内外圧、さらに中東やロシアの動き等を詳細に分析し、今後の行方を予測しています。

米中貿易戦争の行方

米中貿易戦争や日銀金融政策の微調整など、世界や日本の行方に暗雲が立ち込めてきた。それを検討しよう。

7月の日銀金融政策決定会合

日銀金融政策決定会合では、日本の長期金融緩和を維持するために、銀行の収益力を上げる必要から、国債の金利、言い換えると長期金利を現在0.1%程度であるが、それを0.2%に引き上げるために国債買い入れを緩和する。国債の流動性が低下して、市場が立たないことになり、新規国債の売却に支障をきたし始めていた。この緩和であるが、これは利上げである。このコラムでは銀行の倒産で金融恐慌を避けるために利上げが必要と提案したが、それを実行したようだ。

もう1つが、日経225のETF買いを1割にして、TOPIXのETF買いを9割にして、買入金額も柔軟化するという。当面の高い株価水準での買入額を減少させると見える。日経平均株価での寄与度が高い企業株の占有率が上がるなど株価の歪が大きくなり、もし、日銀買入がないと仮定した場合の現時点の日経平均株価は、2万円弱から1万8,000円程度であると海外証券会社が試算している。

そして、日銀が出口に向かい株を売ると、8,000円台まで下がると試算しているから、日銀が株を売り始めたら、空売りを海外ヘッジファンドは仕掛けることになる。売出しもできないし買うのもそろそろ限界である。このコラムで提案した機動的な売買をしなかった失敗が明らかになってきた

また、国債の債権市場でも空売りが出てくることが見えている。0.1%程度の利益が上がることが確実であり、100倍以上のレバレッジを利かせた投機が起きる可能性がある。

というように日銀金融緩和政策がテパーリング段階に入っているように見える。長期の量的緩和政策はできないし、もし実施すると、出口がないことが明確化したように感じる。

そして、インフレが起きる大きな要因であるアルバイトの時給が、どんどん上がり始めている。これは、日本でもインフレになる可能性が出てきた。もしインフレになると、一層の金融引締め方向にしないといけなくなる。

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