日本にも飛び火か。「米中貿易戦争」で突きつけられる無茶な要求

 

米国経済は絶好調、中国経済は伸び下落

日銀の金融政策が変更されて、円安に振れている。米国経済は7月雇用統計でも絶好調であり、失業率は3.8%程度になっている。トランプ大統領も減税や貿易戦争の効果をアピールしているし、米国民は、定常的に一定程度のインフレ下にあり、貿易戦争でのインフレを感じていないようである。

米国経済が強いのでドル高円安であり金価格も下落している。世界の資金がドルに向かっている。日本の金利は0.2%で、米国の金利は3%であり、それではドルに向かうことになる。金融緩和終了の米国と金融緩和継続の日本では、魅力度が違いすぎる。この状況では円高になることはないように思うが、どうであろうか?

しかし、皆が同じ方向の投資をすることで、大きなバブルが形成されている。それはいつか暴落に向かうことになる

米国投資でNYダウは上昇。ナスダックも上昇。当分株価高騰が続くことになる。この影響は日本でも出てくることになる。当分、日本企業への貿易戦争の影響が出ないために、株価は上昇するが、中国の上海市場の株価は、急落して2,700ポイントまで低下して、市場規模で東証の下になり、東証が世界2位上海は3位になってしまった。

中国経済の下落は株価にも表れているが、今の所、富裕層の消費にまで影響が出ていないようである。また、中国政府が下期インフラ投資を拡大するとしたことで、中国でのコマツや日立建機の売上げが伸びている。

米中貿易戦争の行方

トランプ米大統領は8月1日、2,000億ドル分(約22兆円)の中国製品を対象とした第3弾の対中制裁を巡り、追加する関税率を当初の10%から25%に引き上げるよう米通商代表部(USTR)に検討を指示した。

この対抗処置として、中国政府は3日、米国がさらなる関税拡大計画を実行に移した場合、600億ドル(約6兆7,000億円)相当の米国製品に5~25%の追加関税を課す考えを示した。

この貿易戦争は、台湾問題や安全保障分野、北朝鮮核問題、南シナ海問題、イラン原油禁輸問題などに波及し始めている。米中の覇権競争という局面になってきた。戦争の範囲が拡大している。

事実、米国は東南アジア向けの投資ファンドを立ち上げて、中国の一帯一路に対抗することを表明している。東南アジアを米国の味方に付けようとしている。これに対して、中国は南シナ海の行動基準を作ることでASEANと合意した。

そして、米国議会の方が中国に対して強硬になってきている。また、米国政府内の親中派が辞任や解雇されて、政府内に親中派が居なくなっている。このことで、米中協議を仲介する人が米中政府内にいなくなってしまったようだ。

とうとう、政府間ベースではなく、米国に知人が多い王岐山副主席が前面に出てきて、米中貿易協議を行うようである。この交渉を有利に進めるために、トランプ大統領は、10%から25%に引上げ、中国の対抗処置を取ったようである。

しかし、両国ともに強硬派が力を得てしまい、より強い処置を行ってしまう可能性が出ている。米国ではロス商務長官、クドローNEC委員長、ライトハイザー通商代表が中心であり、大人の対応をするムニューシン財務長官やマティス国防長官の意見が政府内で少数意見になっているようである。

米国が強い処置を取ると、その対応処置を中国がとるので、チキンレースになっている。交渉が決裂して、行くところまで行くことになりそうで心配だ。

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