大丈夫か楽天。携帯参入「6000億円で十分足りる」発言が再び波紋

 

携帯「第4のキャリア」を目指す楽天の山田善久副社長は6日、基地局構築等にかかる費用が、これまで見積もっていた6000億円を下回る金額で可能だと発表、関係者間で驚きの声が上がっています。これを受け「3キャリアと同等のネットワーク品質を作り上げるのは至難の業」と懐疑的な見解を示すのは、ケータイ/スマホジャーナリストの石川温さん。石川さんは自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、MNO(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなどの移動体通信事業者)とMVNO(他社から無線通信インフラを借り受けサービスを提供する事業者)の両方を手がける可能性がある楽天に対して「NTTドコモが黙ってはいないはず」とし、その理由について記しています。

楽天が6,000億円よりも安価にMNOネットワークを構築――組織改編により、MNOとMVNOを同じ会社で運営へ

8月6日、楽天は2018年度第2四半期決算説明会を開催。そのなかで、2019年秋に開始する携帯電話事業への言及があった。

同社は2018年から10年間で5,263億円を基地局構築に充て、残りは1.7GHz帯を使う既存事業者の移行措置のために使う計画だった。しかし、今回の説明会で、6,000億円を下回る金額で設備投資が可能になるとのことだった。

業界関係者の間では「6,000億円でも少ないのに、もっと金額が減ってしまうのか」という、驚きの声が上がっていた。

8月10日付のケータイWatch「見えてきた楽天の基地局ネットワーク構成」で指摘があったが、おそらく楽天は、CORE・RANのオール仮想化によるネットワークを構築するものと見られている。楽天にはレガシーの設備がないため、イチから仮想化によるネットワークが構築できる。これにより、汎用サーバーを使い安価なイーサネットスイッチを利用できるため、既存キャリアとは比較にならないほど、低コストでネットワークが構築できるというわけだ。

ただ、業界関係者の間で不安視されているのは、コアネットワークというよりも、基地局側の問題だ。楽天では、CTO(最高技術責任者)として、インドで2016年に新規参入した通信キャリア、リライアンス・ジオで上級副社長だったタレック・アミン氏を起用したと発表した。

アミン氏は、インドだけでなく、ファーウェイやアメリカ・T-Mobileでの経験がある模様。

ただ、インドのキャリアで成功した経験があるからといって、日本のキャリアでのネットワーク構築に実力を発揮できるかといえば、かなり未知数なのではないか。

残念ながら、インドは自分にとって未踏の地なので、ネットワーク品質のことはよくわからないが、少なくとも、日本以上に、地下街や地下鉄、高層ビルの上層階などで、スマホが快適に使えるとは思えない。

楽天では2026年3月までに人口カバー率96%を目指すとあるが、すでに3キャリアは99%以上を実現しているだけに、開業7年経過しても相当、見劣りしたネットワークにしかならないのではないか。

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