イーロン・マスクとショートセラーの間の戦いは、テスラが上場して以来続いており、非上場化に成功すれば、単にショートセラーたちとの戦いを終わらせることが出来るだけでなく、ショートセラーたちに思いっきり痛い目に合わせることが出来るのです。
(こんな言い方をすると、怒る人もいるかも知れませんが)この非上場化は、ショートセラーたちとの戦いを一気に終わらせる核攻撃のようなものなのです。幸いなことに損をするのはショートセラーたちだけで、一般の株主には被害が及ばない点が、広島や長崎への核攻撃とは大きく異なる点です。
そのメールには、さらに、
- 既存の株主は一株$420で売ることも出来るし、そのまま株を持つ続けることも出来る
- 社員のストックオプションはそのまま有効、行使もできる
- 非公開後も6ヶ月に一度、株を売るチャンスがある
と述べていますが、これは社員や既存の株主にとっては重要な話です。
非公開になった場合の一番の問題は、社員のストックオプションですが、6ヶ月に一度とは言え、自由に売買が出来るのであれば、インセンティブの意味合いを失わずに済みます。
はっきりしないのは、株価をどうやって決めるか、です。上場しているからこそ「株価を市場に決めてもらう」ことが出来るわけで、それを失ったテスラの株の価格を、誰がどんなプロセスで決めるのかは分かりません。
しかし、ソフトウェアエンジニアがたくさんいるテスラなので、株主専用のオークションシステムを作って、そこで(株主の間での)公平な価格を決めるつもりなのかも知れません(私であればそうします)。
ちなみに、非上場にするには既存株主の過半数が賛成する必要がありますが、今回は$420という魅力的な価格で買い上げてくれる投資家を見つけたそうなので、株主には
- $420で売りぬける
- 非上場になっても株を持つ続ける
の二つの選択肢があります。
非上場株を持つことが出来ない機関投資家は、賛成した上で$420で売りぬけるでしょうし、熱烈なイーロン・マスクファンは、非上場になっても株を持ち続けることを選ぶでしょうから、過半数の票を集めることはそれほど難しいことではなさそうです(イーロン・マスク自身が20%の株を持っています)。
株を$420で買うと約束してくれた投資家が誰なのかは公表されていませんが(公表されました→追記をご覧ください)、巷ではサウジアラビアのお金持ちだという噂が流れています。私は、それよりは、(既に株を5%ほど所有している)中国のTencentか、(やたらとお金を持っている)ソフトバンクである方が、夢が膨らんで良いと思います。