中東戦争か?
大きなマイナスの2つには、中国の反発に備える軍備配備で中東戦争への備えができないことだ。イランへの経済制裁で、イランは米国が無条件での交渉を提案しても、交渉を拒否して、ホルムズ海峡を封鎖すると宣言し、もし本当に封鎖なら中東戦争が始まる。米国も2正面戦争はできないので、当面は中国との関係は平穏にするしかない。
また、福音派のブランソン牧師を解放しないトルコとも米国は関係を悪化させている。こちらの方がトランプ大統領としては、有力な支持層であるキリスト教福音派の要請で優先レベルが高い。もし、トルコが牧師を解放しないなら、軍事的な対応も辞さないとも見える。
その上に、トルコは、クルバンバイラム(犠牲祭)で市場は8月18日からお休みになり8月27日しか再開しない。その間に追加制裁や米国の軍事対応が起こると、再開時のトルコリラは、どこまで下がっているのか不安だ。
そして、どうも米国は、景気後退になったら、戦争経済に移行する準備をしている。中東への軍事介入を正当化する次の「セプレンバー・イレブン」を起こす匂いもする。嫌な感じになってきた。株価が上昇する戦争経済でも中国とでは核戦争になり、米国本土も危なくなるが、中東諸国との戦争では、米国本土には影響がない。
というように、中国から中東へトランプ大統領の目が移った。猫の目のような思い付き外交で、どんどん視点が変化する。それに世界もこのコラムも振り回されている。
米国の一人勝ち
米国経済は引き続き絶好調である。失業率は過去50年間で最低レベルにある。移民を排斥したことで失業者が減っている。トランプ大統領の移民排斥などのナショナリズム政策は、米一般国民によっては大成功である。
この成功で、FRBは利上げを行い、10年米国債の資産売却を行い通貨量を下げているので、ドルの巻き戻しが行っている。FRBは、景気後退時の糊代を確保するために資産縮小もしている。
このため、ドル金利上昇で新興国の景気は悪くなっている。そして、コモディティや銅価格は大きく下落して、今銅は5,200まで下がっている。銅価格は世界景気の先行指標であり、世界的な今後の景気は下落して行くようである。
次のFOMCは9月28日であるが、新興国の経済状況を見ると、果たして利上げができるのであろうかと疑問に持つ。8月23日のカンザスシティ連銀シンポジウム・ジャクソンホールでパウエルFRB議長が、何を話すかが焦点になっている。
どうも、トランプ大統領はトルコへの制裁で経済危機を起こして、9月のFRBの利上げを阻止し、11月まではリセッションを起こさせないという説もある。このためNYのダウ平均株価は最高値付近まで戻している。
欧州の景気
そして、中国の景気が悪化したことで、中国経済との結びつきが高いドイツ経済も下がり、欧州経済も軟調で、ユーロも安くなってきている。このため、ユーロ安ドル高円高になっている。
欧州の銀行は、欧州危機の損失を先送りにしているので景気が悪化すると、収益が悪化してくる。また、トランプ大統領がドイツに強烈な要求をしているのも、中国との関係が深いからである。
新興国と欧州の景気が悪い。相対的に日本の景気は良いことになっている。そして、米国は絶好調だ。