ホルムズ海峡封鎖で日本経済は?
もし、イランがホルムズ海峡を封鎖すると、原油価格が1バーレル100ドル以上になる。日本の貿易収支は赤字になり、中東戦争時には外国人旅行者も少なくなりインバウンドの収入もなく、経常収支も大幅な赤字になる。
その上に、日本も米国の要請で中東戦争に参加することになり、戦費調達のために国債発行量も増えることになる。そのすべてを日銀が買うことで、財政ファイナンスとなり円の信頼性を棄損して、超円安となる。
超円安で原油価格が1リットル300円以上に猛烈に上がり、諸物価もそれに釣られて上がり、とんでもないコストアップインフレになる。ここまでなら、物価インフレは行っても3倍程度で済む。
しかし、日銀当座預金が市中に出ると大変なことになる。だが、インフレになると、銀行から1%金利で借りた方が得になる。このため、企業や資産家は、大挙して銀行から資金を借りることになる。
市中銀行の資金が日銀当座預金にあれば、市中円通貨量はあまり上がらないが、それがどんどん出ていくと、4倍から10倍以上のハイインフレになる。
これを阻止するためには、日銀当座預金を封鎖して、当座預金をマイナスやゼロ金利から5%程度に金利を上げて、かつ預金準備率を大幅に上げて、市中の円通貨量のコントロールが必要になる。これを迅速に行わないと、5倍以上のハイインフレや10倍以上のハイパーインフレになってしまう。日銀が金利を上げると、超円安も止まる。
同時に、物価引き下げのために、戦時中の統制経済なども考えるか、卸売市場を介さない流通ルートを確立して、値段を下げることも考える必要になる。
そして、国民は確実に貧困化して、今までに蓄積した個人の金融資産は10分の1になるが、累積国債の借金は10分の1に棒引きになっている。国民はこの事態を招いた自民党に批判的になるはずだ。
どちらにして、国内での食料、エネルギー自給を重視して政府は、この事態を想定して準備しておくことだ。上手くいけば、3倍程度のインフレで済む可能性もある。しかし、対処を失敗すると10倍以上のハイパーインフレになってしまう。
ということで、もし、中東戦争が起きてホルムズ海峡が封鎖されると、日銀の5年以上にわたる黒田総裁の大胆な金融量的緩和政策で、日本は第2の経済敗戦を迎えるが、敗戦処理が重要になっているようだ。
さあ、どうなりますか?
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