いじめ自殺のアンケートを握り潰した、教育委員会と学校の愚行

 

握り潰された生徒たちの声

ところが、クリスマス前後に行われた試合を契機に状況は急激に悪化するのだ。Aさんは友人らにこう漏らしている。特定の子が「怖い」「無視される」と。また、他の友人らは、「先輩に目をつけられている」と聞いたことがあると証言している。

努力家であったAさんは、はじめてやるテニスについて部活ノートをつけていた。そこには、「もっとこうしなきゃ」「こういう練習をしよう」という記載が細かく書かれていた。

ところが、確かにクリスマス前後に行われた試合後、このノートへの記載はパタリと止むのだ。

何かがあったに違いない。そう誰もが考えるであろう。

実際、Aさんを中心としたトラブルがこの時、起きていた。

聞けば聞くほど、部活内でのいじめについての証言が出てきている。

同じことが、学校が遺族に強い要請を受けて行った記名のアンケート、無記名のアンケートには記載があるということであった。

つまりは、アンケートにはいじめの加害者の氏名も入り、いじめの事実の証言も入っている内容がいくつもあったはずなのだ。

ところが、これを名古屋市の第三者委員会は「いじめはない」と一度は評価した。

私は300件以上のいじめ事件の調査を行ってきたが、アンケートにいじめの記載があるにも関わらず、「いじめはない」と判断した第三者委員会は聞いたことがない。

もしも個別面談でいじめの話が聞けなかったとすれば、著しい調査能力不足、生徒理解ができない無能な人材が選ばれてしまったと言わざるを得ない。

そして、生徒たちの声を教育委員会も学校も第三者委員会も握りつぶしたという結果しか残らない。

冒頭の事件概要で、再調査となったと報道があったと書いたが、それは至極当然であり、何も褒められたことではない。時間を大きく損失しただけなのだから、何をやっているのだと評価するのが妥当だろう。

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