工場の工作機械はシーケンサーと呼ばれる回路で制御されています。こうした機械は手順通り正確に動くことが大切なのですが、人間は工作機械と違い、「目的意識」によって行動が大きく変わります。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では著者で飲食店コンサルタントとして活躍中の中西敏弘さんが、店舗経営において「マニュアルより大切なものは何か」を論じています。
社長がいないと、売上がどんどん下がってしまう、その理由とは?
3店舗になって、創業から一緒に店に入って仕事をしてきた社長が、少しずつ店で働くことが少なくなってきた。すると、社長が入店して働かない店ほど、また、目が届かない店ほど、売上が下がってしまう。
「自分が入れば、売上はまた元に戻るんだけど、自分がいなくなると途端に売上が低下してしまう」とは、社長Aさんのことば。
そこで、「店の仕事がマニュアル化されておらず、自分が全部指示しないといけないから売上が下がるのかも。だから、マニュアル化を急がないと…」と考え、せっせとマニュアルを作り出した。
しかしながら、マニュアルはできたし、店に導入したはいいが、依然として売上は社長が入らない店は、向上してこない。
なぜなんだ。マニュアルがあれば、誰でもできるはずなのに…。なぜ?
店を増やしていく過程で、このような悩みを抱えておられる社長さんもいらっしゃるでしょう。そして、同じように「店を増やすためには、マニュアル化を進めることが重要だ!」と急いでマニュアル化を進めている方も多いはず。
しかし、単に「マニュアル化」するだけでは、売上が向上することはありません。
社長さんがいなくなって売上が下がるのは、「仕事の質」自体が低下していることが一番の理由。
「仕事の質」が低下してしまうのは、様々な仕事自体の「目的」「あるべき姿」等、何も考えず、ただ「作業的に」行っているためです。つまり、言い方は厳しいですが、「何も考えず機械的に仕事をしている」からこそ、仕事の質が落ちてしまうのです。
社長が店にいれば、社長自身は「目的」「あるべき姿」等を“無意識”に理解しているので、「間違い」「違和感」があれば、すぐに指示・指摘し、修正・改善ができ、常に「あるべき姿」で仕事を進めることができます。
しかしながら、社長がいないと、他のスタッフは何も「違和感なく」仕事をすすめるため、知らず知らずのうちに「仕事の質」が落ち、それが売上低下を招くことになるのです。