付加金とは
<大辞林 第三版から>
労働基準法上、解雇予告手当・休業手当・割増賃金等を支払わない使用者に対し、裁判所が労働者の請求に基づき、それら未払金に加えて支払いを命ずる金銭。
<人材マネジメント用語集から>
ここでいう「付加金」とは、労働基準法第114条に定める付加金を指している。裁判所は、使用者が以下に該当する場合に、労働者の請求により、使用者が支払わなければならない金額について定めている。未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあった時から2年以内に行わなければならない。
- 使用者が解雇予告手当を支払わないとき
- 休業手当を支払わないとき
- 割増賃金を支払わないとき
- 年次有給休暇の日の賃金を支払わないとき(労働基準法第114条)
簡単に説明すると、付加金というのは、使用者が労働者に対して、未払い金に対して「倍返し」することを意味する。ただし、支払が遅延した場合直ちに付加金請求が認められるわけではなく、あくまでも悪質なケースで裁判所が認めた範囲内となる。直近の判例では、日本マクドナルド事件(東京地裁平成20年1月28日判決)で、同額の付加金が認められた。付加金の請求が行えるのは、違反のあったときから2年以内となる。付加金の請求ができる2年間という期間は時効ではなく、排斥期間となる。
<世界大百科事典内の付加金の言及>
賃金の支払に関する一定の規定に違反した使用者に対しては,裁判所は労働者の請求により未払い額と同額の支払を命令することができる。これを付加金の制裁という(114条)。使用者はこの制度によって法律違反が経済的にも割に合わないことを知り、他方労働者に裁判所を権利主張のために積極的に活用することを促すものと考えられている。
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