月の周期をこよみに取り入れた旧暦(太陽太陰暦)、かつては人々の生活に深く根差していました。現代でも多くの地方では、旧盆の時期に提灯を掲げて先祖を迎える行事が行われます。今回の無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』では著者の須田將昭さんが、中秋の名月と旧暦との深い結びつきを解説しています。
今月の主役はお月様
今年の「中秋の名月」は、24日です。「満月」は25日なので、ちょっと欠けた月を眺めることになりますね。え? ずれるの? ということになるのですが、それは「暦」の種類の違いからです。
「中秋の名月」は、太陰太陽暦という、明治以前の日本で使われていた暦での8月15日の夜に見える月のことを指します。この暦は月の運行を元にしているのですが、新月(朔)の瞬間を含む日が、その月の一日(ついたち)になります(「ついたち」を漢字にすると「朔日」とも書きますね)。
一方、現代の天文学で言う「満月」は、地球から見て、太陽と月が反対方向になっている瞬間を指します(つまり、太陽・地球・月の順番に一直線に並んでいる時です)。
太陰太陽暦でカウントして、朔日から15日目の月が「中秋の名月」となるのですが、今回はそれがたまたま、天文学で言う「満月」とは1日ずれるということです。
太陰太陽暦は、今は使われていない暦ですが、今の暦の「8月15日」と決めてしまってもその時に月があるかどうか年によって違うので、この「中秋の名月」だけは、旧暦でやらないと風情が出ませんね。
また、太陰太陽暦9月13日の月を「のちの月」と言って、「中秋の名月」とセットで見ないとよろしくない、ということも言われています(何がどうよろしくないというのは、あくまで風習のことなので、いわゆる験が悪いとかそういうものですが)。
さて、今年の中秋の名月はいかがでしょうか。晴れますでしょうか。24日の夜は振り替え休日となっている月曜日の夜です。お家で家族揃って、ゆっくり月を愛でるのもいいのではないでしょうか。
星を見る人にとっては、月が大きいと、月明かり星が見えなくなるので、あまり嬉しいものではないのですが、それほど星を熱心に観察することから離れてしまうと、今度は月の明かりにホッとするようになりました。人の心は本当に身勝手なものだなあと、我ながら思います。
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