【書評】バカバカしいけど愛おしい「県境マニア」決死のレポート

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県と県の間にある「県境」。それをまたぐことに生きがいを感じる「県境マニア」な方々が存在します。無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんが紹介しているのは、県境の魅力に取り憑かれ、登山初心者なのに剣ヶ峰にまで登ってしまったある男が綴った一冊です。

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カラー版 – ふしぎな県境 – 歩ける、またげる、愉しめる

西村まさゆき・著 中央公論新社

西村まさゆき『ふしぎな県境 歩ける、またげる、愉しめる』を読んだ。著者はニッチな“県境マニア”である。実際に現地に行って、県境をまたいだ証拠写真を撮る。そしてなぜそこに県境が引かれたのかを調査する(もちろん下調べ済み)。13か所の実地調査を敢行したレポートである。まるで「デイリーポータルZ」みたいな展開だ~と思ったらアタリ。

オルタナ系のポータルサイト「Daily Portal Z」は「愉快な気分になりますが、役にたつことはありません」と宣言し、世の中のトレンドをあまり意識せず、自分たちが興奮したことだけを掲載している。かなりバカバカしいことを企画、実践、レポートしていて楽しい。そこで連載した記事をまとめたようだ。

「境界線はその土地の歴史が刻み込まれた記念碑である」とは格好いいが、面白い境界線を地図上で探し出すのが楽しくて、実際そこに行って見たらなお楽しいだろうという、野次馬な志が潔い。東京の練馬に県境がひと目で分かる場所があるので見に行った、店舗内に県境ラインが引かれているショッピングモール東京都を東西に1秒で横断できる場所福岡県の中の熊本県、などバラエティ豊かな13物件。

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